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2016年9月9日金曜日

賃借人の同居人に対する責任(離婚)



当事務所では,賃貸物件の明け渡し,退去費用・原状回復費用の相談に応じております。
司法書士は,紛争金額が140万円以内の場合は,示談交渉の代理や訴訟代理人(簡易裁判所に限る)になることができます。
札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/
TEL:011-532-5970

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離婚した夫が賃貸借契約の賃借人で退去済み,同居人であった離婚した妻が居住を継続している事例。


(1)賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,賃借物件を原状に回復して賃貸人(家主)に返還する義務があります。


したがって,賃借人である離婚した夫は,離婚した妻を賃借物件から退去させなければ,賃貸借契約を終了すること(解約すること)はできません。


賃貸人に対して,離婚した夫が「自分は,すでに退去したから賃料は支払わない。居住している離婚した妻に賃料を請求してくれ。」と主張することはできません。
賃借人の意思で(離婚した)妻を賃借物件に入居させた以上,賃借人は,その後離婚したとしても,離婚した妻が居住していることについても責任を負います。


(法律上は,賃借人から一方的に賃貸借契約を解約することはできますが,離婚した妻を賃借物件から退去させなければ原状回復義務(明渡し義務)を履行したことにはなりませんので,妻が退去するまで賃料相当損害金を支払う義務があります。)


(2)賃料滞納をしていると,賃貸人が賃貸借契約を解約することがありますが,この場合であっても,離婚した夫には原状回復義務(明渡し義務)がありますので,妻が退去するまで賃料相当損害金を支払う義務があります。


なお,賃貸人の賃貸借契約の解約後,妻は不法占拠者になりますので,妻自身も賃貸人に対して賃料相当損害金を支払う義務を負うことになります。


(3)離婚した夫が賃借人の責任を免れるためには,離婚した妻と賃貸人(家主)が新たに賃貸借契約を締結する方法があります。しかし,賃貸人は,離婚した妻と新たに賃貸借契約を締結しなければならない義務はありませんので,賃貸人は拒否することができます。


通常は,離婚した妻に賃料支払い能力があり,連帯保証人を準備できるのであれば,賃貸人は新たな賃貸借契約の締結を拒否することはないでしょう。


(4)離婚した夫は,賃借権に基づいて所有者(家主)に代位して明渡請求権を行使することで,離婚した妻を退去させることができると考えられます。ただし,離婚時の約束によっては,信義則違反及び権利の濫用とされる場合もあり得るでしょう。