下記の記事によると,「法律の専門家もお手上げだ。」,って書いてありますがホンマかいな?
①500平方メートル以下の小規模駐車場には、そもそも料金トラブルなどの違法行為について法的拘束力がないので注意が必要です」(国民生活センター・広報)
500平方メートル以下の駐車場には,駐車場法が適用されません(同法第十一条)ので,そのことを指していると思われます。
その点でいうと,国民生活センター(行政機関?)ではお手上げというのは,正しいでしょう。
②訴訟で決着をつけようにも、駐車料金より弁護士費用のほうが高額になってしまう場合が多いと思われます」(弁護士法人ウィズの岡崎秀也弁護士)
確かに,弁護士に依頼しても司法書士に依頼しても,採算割れだと思われます。
弁護士に依頼しても採算割れ事案のために,消費者契約法の改正で適格消費者団体制度および消費者団体訴訟制度(現時点では,不当な契約条項や不当な表示などの「不当な行為そのもの」の差止めを請求できるだけです。)が創設されました。
事業者の不当な表示は,不当景品類及び不当表示防止法によって,制限および禁止されています。平成20年の消費者法の改正で、不当景品類及び不当表示防止法も消費者団体訴訟制度の対象になりましたので,駐車場業に関する不当な表示に対して,差止め請求をすることができます。
不当景品類及び不当表示防止法
第十条 消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第二条第四項
に規定する適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
一
商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
二
商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
(*なお,不当景品類及び不当表示防止法に違反する不当な表示であったとしても,ただちに駐車場契約の締結が無効になるわけではありません。)
消費者団体訴訟に基づく特定の事業者に対する訴訟の結果が,町中の駐車場業者に対して直接効力を発揮するわけではありませんし,現在の消費者団体訴訟は,すでに発生している消費者の個別具体的な事件を解決する効力がありません。
現時点では,差止請求しかできないわけですが,適格消費者団体による消費者契約法や不当景品類及び不当表示防止法などに基づく差止め請求により,不当な契約条項や不当表示の改善に一定の効果を発揮しているようです。
消費者庁 消費者団体訴訟制度「差止請求事例集」
http://www.caa.go.jp/planning/25sashitomejirei.html
結論:
消費者は,適格消費者団体に情報を提供して,特定の駐車場事業者に対する差止め請求を促すという方法が,現状では最善ということになるでしょう。
情報提供により,公的な統計にコインパーキングにおける消費者トラブルの増加が記録されれば,行政機関に法整備などの対応を促すことができます。
*なお,平成25年の消費者契約法の改正および消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の制定され,消費者団体訴訟によって損害賠償支払義務の確認請求もできるようになります。消費者の個別具体的な事件の解決に役立つこととなります。ただし,現時点では未施行です。)
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[2014年04月02日]
コインパーキングのセコい看板表示で料金トラブルが急増中
予測を超える高額料金を請求されるなど、コインパーキングの利用トラブルが急増している。
例えば、「1日最大500円」と表示された看板を見て、コインパーキングに愛車を5日間止めたところ、8700円を請求されたというケース。
普通に計算すると、1日500円×5日間で2500円になるはず。ところが、実際にはそれより6200円も余計に支払わなくてはならない。これではトラブルになって当然だ。
ほかにも、「入庫当日最大1500円」と大書されたパーキングにお昼前に駐車し、当日の深夜に車を出そうとしたところ、なぜか8000円もの料金を請求されたなんてケースもある。なぜ、こんなことに?
「看板の裏に細かい文字で書かれるなど、とにかく料金体系の説明がわかりづらいパーキングが後を絶たないんです」(国民生活センター・広報)
前記の8700円を請求されたケースでは、確かに初日は1日500円で済んだのだが、2日目からは別料金体系となり、1時間100円の駐車料金がかかってしまった。その説明が精算機の裏に表示されていたため、利用者は気づくことができなかったのだ。
また、8000円を払ったケースでは、「最大1500円」の表記の下に「平日のみ(月~金)」という小さな注意書きが。やはり読み落としてしまい、しかも、利用日が土曜日だったために、15分200円の通常料金が適用されてしまったという。
客寄せ用の低価格をデカデカと大書し、詳しい料金体系はこっそり豆粒のような文字で書いておく。はっきり言って“看板詐欺”だ。
行政側もこう注意を呼びかける。「よくあるのは『最大○円』という表示の下に、小さく『打ち切り』との4文字が入っているパターン。最大料金の適用は24時間、もしくは深夜0時で打ち切りになるので、その後に長時間駐車していると、高額料金になってしまいます」(国民生活センター・広報)
しかも、こうした料金トラブルは苦情を申し立てても、そのほとんどが泣き寝入りだ。
「コインパーキングの利用規定については、どのような文言を入れなければならないなどの明確な法的規制がありません。そのためクレームを受けても豆粒のような表示を指さして、『この説明、読みましたか?』と、利用者に非があるかのような対応をとる業者も少なくない。また、500平方メートル以下の小規模駐車場には、そもそも料金トラブルなどの違法行為について法的拘束力がないので注意が必要です」(国民生活センター・広報)
法律の専門家もお手上げだ。
「駐車料金を取り戻してほしいと相談されたとしても、『わかりにくい看板を設置した業者が悪い』『いや、説明を読み落とした利用者が悪い』と、どちらも譲らず、平行線になる可能性が高いです。訴訟で決着をつけようにも、駐車料金より弁護士費用のほうが高額になってしまう場合が多いと思われます」(弁護士法人ウィズの岡崎秀也弁護士)
それにしても、なぜこんなに悪質なコインパーキング業者が多いのか? 交通ジャーナリストの植村祐介氏がこう説明する。
「コインパーキングは自販機ビジネスと同じ。土地さえあれば、初期投資はわずか。誰でも参入でき、あっという間に撤退も可能です。だからこそ、詐欺まがいの看板を掲げるような不心得な業者も交じってしまうのでしょう」
コインパーキングは100円単位の小金をコツコツと積み上げて儲けるビジネス。業者はあの手この手で、100円玉の積み上げを狙ってくる。利用者はそう受け止めて、事前に料金説明をきっちり確認するなどの自衛策をとるしか、トラブル防止法はないってことか。
週プレNEWS HP
http://wpb.shueisha.co.jp/2014/04/02/28153/2