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賃貸マンション・アパートの退去費用・原状回復(札幌)

◇ 退去費用・原状回復(現状回復)費用・敷金返還のご相談・ご依頼を承っております。 法テラスの相談援助が利用できる場合は,3回までの相談料は無料になります。借主の場合,資産要件を満たすことが多いため,相談援助を利用ができる場合が多いと思います。 家主の高額な請求金額をその...

2019年5月7日火曜日

原状回復費用に関する本





以下は,当事務所が所有している本です。


『最高裁判所判例解説 民事編 平成10年度(下)』 法曹会

『最高裁判所判例解説 民事編 平成23年度(上)』 法曹会

廣谷章雄編著 『借地借家訴訟の実務』 新日本法規

佐々木茂美編 『民事実務研究Ⅱ』 判例タイムズ社

一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会 『賃貸不動産管理の知識と実務』 大成出版社

太田秀也 『賃貸住宅管理の法的課題』 大成出版社

渡辺晋 『建物賃貸借』(改訂3版) 大成出版社

中田裕康 『契約法』 有斐閣

筒井健夫 村松秀樹 編著 『一問一答 民法(債権関係)改正』 商事法務

平野裕之 『新債権法の論点と解釈』(第2版) 慶應義塾大学出版会

仙台弁護士会『Q&A賃貸住宅紛争の上手な対処法』(第6版) 民事法研究会


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事務所(札幌市中央区南6条西23丁目4番18号)
石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所)のHP 
https://ishihara-shihou-gyosei.com

電話番号:011-532-5970

土曜日・日曜日も予約で対応可能です。

*司法書士は,140万円以内の交渉代理(示談交渉)や,裁判書類を作成することができます。

行政書士が,交渉代理や裁判書類を作成をすることは,弁護士法に違反します。当事務所は,司法書士と行政書士の兼業です。




2019年5月1日水曜日

債権法改正と賃貸借契約



保証契約が根保証場合は,極度額を定めること。



2019年4月23日火曜日

賃貸借契約の成立



賃貸借契約の成立をめぐる争い,退去費用・原状回復費用のトラブルのご相談・ご依頼を承っております。

法テラスの相談援助が利用できる場合は,相談料は無料になります。


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*司法書士は,140万円以内の交渉代理(示談交渉)や,裁判書類を作成することができます。

行政書士が,交渉を代理することや裁判書類を作成することは,弁護士法に違反します。

なお,当事務所は司法書士と行政書士の兼業です。


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本件ブログにおいて,


「キャンセル」という用語は,賃借人(予定者)の契約の申込み前の,契約交渉段階での賃借人(予定者)の契約交渉の一方的な破棄という意味で使用します。


「申込みの撤回」という用語は,賃借人(予定者)が契約の申込みをしたが,賃貸人が承諾する前に賃借人(予定者)が一方的に申込みを撤回したという意味で使用します。




賃貸借契約の成立の流れとしては,


①賃借人(予定者)が宅建業者の賃貸物件の店頭広告を見る・HPを見る。


②賃借人が宅建業者と賃貸借契約の締結を交渉する。


③宅建業者が賃借人に重要事項説明をする。


④賃借人が賃貸借契約の申込みをする。


⑤賃貸人が賃貸借契約を承諾する(賃貸借契約の成立)。




(1)
契約は,諾成契約が原則ですので,理論上は,賃貸借契約も口約束だけで契約は成立することになります。したがって,賃借人の契約の申込みに対して,賃貸人が承諾をした時に契約は成立します。


しかし,不動産の賃貸借契約は,不動産の売買と比較すると金額が低額になるとはいえ,以後,1年以上にわたって契約関係を継続することになることが多く,しかもほとんとが居住用目的であることに照らすと,簡単な口約束で契約の成立が認定されるものではありません。


なお,定期建物賃貸借契約は,書面によって契約をする必要がありますので(借地借家法38条1項),要式契約ということになります。さらに定期建物賃貸借契約の場合は,あらかじめ更新がないことを契約書とは別の書面を交付して説明しなければならないとされており,この書面を交付して説明していない場合は,定期建物賃貸借契約ではなく,期間の定めのない普通の賃貸借契約を締結したことになります。


(2)
通常は,賃貸借契約書に賃借人と賃貸人の両者が署名押印した時に,賃貸借契約は成立したことになります。


ところで,賃貸借契約の締結実務として,賃貸借契約書への署名押印の際,賃借人と賃貸人が同席するということは,通常ありません。


まず①賃借人が賃貸借契約書に署名押印して,②それを仲介の宅建業者が賃貸人に持参して,③賃貸人が署名押印し,④宅建業者が賃借人に賃貸借契約書を交付するのが,よくあるパターンだと思われます。


場合によっては,④の前に,入居開始日が到来するため,先に賃借人がカギを受け取り,入居し,その後に賃借人は賃貸借契約書の交付を受けるときもあるようです。


この場合は,すでに賃貸人が賃貸借契約書に署名押印したか,少なくとも賃貸人が契約の申込みに対して承諾をした上で,仲介の宅建業者に対してカギを賃借人に渡すよう指示しているはずですので,賃貸借契約は成立していることになります。


問題は,賃借人が賃貸借契約書に署名押印した後に申込みを撤回できるかどうかです。民法524条において「承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは,申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは,撤回することができない。」とされていますので,
相当な期間が経過するまでは,賃借人は契約の申込みを一方的に撤回することはできません。
たとえば,賃貸借契約の入居開始日になってもカギを受け取れない場合には,賃借人は申込みを撤回することができます。


しかし,そもそも契約の申込みが認められなければ,賃借人がキャンセルすることは可能です。
裁判例には,賃借人の賃貸借契約書への署名押印が「確定的な申込み」であると事実認定する事例があり,そもそも申込みではなく契約締結の交渉段階というのであれば,賃借人の行為は「申込み」に該当しないため,賃借人が一方的にキャンセルすることが可能となります。


申込みに該当する場合は,賃借人は一方的に撤回することはできません。


(3)
仲介の宅建業者による重要事項説明は,賃貸借契約の締結「前」に行うものとされていますので,
重要事項説明の前においては,契約は成立していないと解されます。宅建業法という業法規制が民法の賃貸借契約の成否に直接影響するとは言えませんが,裁判所における事実認定において,重要事項説明の前であっても契約は成立していたとの賃貸人側の立証のハードルは高いものと思われます。よって,賃借人側は重要事項説明の前であることを理由に,そもそも申込みすらしていないのでキャンセルすると主張すべきです。


(4)
宅建業者が賃貸人から賃貸借契約締結の代理権を授与されていた場合は,賃借人が賃貸借契約書に署名押印し,賃貸人の代理人である宅建業者がクレームをいれることもなく,賃貸借契約書をそのまま受け取った場合には,賃貸人の明示又は黙示の承諾があったとして,その時点で契約は成立したことになります。賃貸人からの代理権の授与は,賃借人が契約書に署名押印した時に,賃貸借契約書に明記されていたなど,明示されていなくてはなりませんから,宅建業者が後出しで代理権の授与を主張することは認められません。


なお,賃借人からのキャンセルの主張に対して,重要事項説明の前の時点において,宅建業者はが実は賃貸人から代理権を授与されていたから,すでに賃貸借契約は成立しているとの反論は到底認められるものではありません。


(5)
契約が成立していないとしても,契約締結上の過失の理論により,キャンセルをした賃借人又は申込みを撤回した賃借人は不法行為をしたとして損害賠償責任を負う場合があります。裁判例としては,事業用賃貸の場合において,賃借人の損害賠償責任が認められた事例があるようです。賃借人が賃借の条件としていろんな要望をだしていたようなケースでない限り,居住用賃貸で契約締結上の過失が認められる可能性はほとんどないでしょう。


(6)
賃貸借契約を仲介する宅建業者の中には,賃貸の宅建業者の従業員については,業態の性質なのか,すぐに辞めて入れ替わることが多いようなのです。宅建業者が「当時の担当者は辞めたのでわかりません。」と言って,責任逃れをすることがあるようですが,法律上は,当時の担当者が辞めようが辞めまいが,会社の責任ですので,賃借人は会社である宅建業者に責任を追及することができます。


賃貸の仲介報酬は,最大でも賃料1ヵ月分と消費税となっており,売買に比べると安いこと,繁忙期はとても忙しいことから,どうしても賃貸借契約の説明は手抜きになりがちなようです。実際の担当者の給料について,基本給が安く,契約成立の歩合給が多い場合は,なんでもかんでも契約を成立させるという方向に傾きやすくなるといえるでしょう。



(7)
賃貸借契約の手続きにおいて,賃借人(予定者)が申込証拠金という金銭を支払うことがあります。申込証拠金は,契約が成立した場合には,賃貸借契約成立の際に支払う諸費用に充てられますが,契約が不成立の場合は,賃借人に返還されるべき金銭です(宅建業法第四十七条の二第3項)。


賃貸借契約が賃貸物件の入居当初から存在する欠陥(瑕疵)により,解除された場合であっても,

宅建業者に対して仲介手数料の返金を請求できないのが原則です。宅建業者は賃貸借契約を成立させているので,成立の対価として仲介手数料を受領することができるからです。


賃貸物件の入居当初から存在する欠陥により,賃借人が賃貸借契約を解除できる場合(賃貸目的を満たさないような欠陥がある場合,契約締結の条件を満たさない賃貸物件であった場合など)には,賃貸人に対して,仲介手数料相当額の損害賠償を請求することになります。


ただし,宅建業者が賃貸物件に賃貸目的を満たさないような入居当初からの欠陥を知っていた場合には,宅建業者は不適切な賃貸物件を紹介したことになりますので,宅建業者に対して仲介手数料の返金を請求することができます。




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宅地建物取引業法
第四十七条の二 宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
2 宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。
3 宅地建物取引業者等は、前二項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、第三十五条第一項第十四号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるもの及びその他の宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。


2019年4月18日木曜日

賃貸不動産の水漏れ・雨漏りと賃貸人の修繕義務





(注意:2020年4月1日から施行の民法の債権法改正部分には未対応です。)


民法717条1項
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じさせたときは,その工作物の占有者は,被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし,占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,所有者がその損害を賠償しなければならない。」
(1)
民法717条1項但書により,所有者の土地工作物責任は,無過失責任とされていますので,賃借人が賃貸建物の漏水によって損害を被ったときに,賃貸建物の所有者は,漏水が工作物の設置又は保存に瑕疵を原因とする限りにおいて,第三者の行為(例えば,工事業者の手抜き工事)に起因するとの反論をすることはできません。
(2)
設置の瑕疵とは,土地工作物を設置した時点において生じている欠陥(例えば,新築時から生じている雨漏り)のことをいい,保存の瑕疵とは,土地工作物の設置後の維持管理の過程で生じた欠陥(例えば,老朽化を原因とする漏水)のことをいいます。




賃借人が賃貸人(=所有者)に対して,民法709条の不法行為責任を追及する場合には,賃借人が賃貸人の過失を立証する必要があります。民法709条は過失責任とされているからです。




なお,賃貸建物の所有者は,間接占有者でもありますので,民法717条1項の占有者の責任も負っています。




賃貸人が注文者となって契約したリフォーム工事(請負契約)の工事業者が生じさせた漏水については,民法716条により,原則として賃貸人は損害賠償責任を負いません。工事業者が生じさせた漏水が,土地工作物の保存の瑕疵に該当しない限り,賃貸人は民法717条1項但書の所有者責任も負いません。




(3)
民法606条1項により,賃貸人は賃貸建物の使用収益に必要な修繕をする義務を負っていますので,賃貸人が修繕義務を怠った場合は,賃借人に対して民法415条の債務不履行責任を負います。




賃貸人は自然災害などの不可抗力や第三者の行為によって修繕が必要になった場合であっても,修繕義務を負っています。


ただし,専門業者の調査の結果によっても,雨漏り・漏水の原因が発見できない場合には,賃貸人は修繕義務を負いませんし,


修繕することが物理的に不可能な場合だけでなく,経済的にも不可能(過分の修理費用を要する)場合も,賃貸人は修繕義務を負いません。




現在の民法606条の解釈について,通説によると,たとえ賃借人に帰責事由があっても賃貸人は修繕義務を負うと解されていますが,債権法改正(民法新606条但書)により,賃借人に帰責事由があるときは,賃貸人は修繕義務を負わないという明文の規定が創設されましたので,現在の民法606条の解釈もその影響を受ける可能性があります。


(4)


漏水・雨漏りにより賃貸借契約の目的を達成できない場合は,民法541条により賃借人は賃貸借契約を解除することができます。


なお,賃貸建物への入居当初から漏水・雨漏りが生じている場合は,民法559条により民法570条の売買の瑕疵担保責任の規定が準用されますので,賃借人が瑕疵を知ったときから1年以内又は引渡しを受けた時から10年(又は商行為による場合は5年)以内であれば,賃貸人に瑕疵担保責任を追及することができます。


(5)


お風呂の排水口ヘアーキャッチのような物は,土地工作物に該当しないと解されますので,ヘアーキャッチが目詰まりしたことが原因で生じた漏水による損害について,所有者に対して土地工作物責任を追及することはできません。


(6)


賃貸人が,アパートの一棟全部の所有権を有する場合か,いわゆるマンションの分譲貸し(賃貸人が当該賃貸物件の区分所有権しか有していない。)の場合かによって,賃借人の取り得る選択肢が異なります。


分譲貸しの場合は,漏水箇所が他の区分所有者の部屋の場合や共用部分に該当する場合は,賃貸人には修繕権限がないので,賃貸人が勝手に修繕をすることはできません(区分所有法18条の保存行為(=共用部分の軽微な修繕行為)を除く)。その場合は賃借人は賃貸人に修繕を請求することができません。




賃貸人が建物一棟全部の所有権を有している場合の方が,賃借人の賃貸人に対して要求できる選択肢は広いことになります。賃貸人が単独で建物全部を修繕する権限(義務)があるからです。


(7)


カビの発生について,漏水がカビの発生原因であると主張する賃借人に立証責任がありますので,カビの発生が賃借人の用法遵守義務違反・善管注意義務違反によるものではないこと(例えば,結露に対する日常的な手入れをしていたことなど)も立証する必要があります。


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2019年4月16日火曜日

賃借人の原状回復費用・修理費用の特約







(1)
太田 秀也(執筆当時:財団法人不動産適正取引推進機構 総括主任研究員)


『賃貸住宅管理の法的課題:原状回復・修繕・契約成立・更新料』   大成出版社  (2011.09)によりますと,




ほぼ東京都内の賃貸トラブル事案であろうと考えられる東京地方裁判所や東京簡易裁判所の裁判例は,


東京都条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例:平成16年10月1日施行)による賃貸借契約締結時の宅建業者の賃借人に対する説明義務が,


クリーニング特約や通常損耗補修特約を有効とする判断に影響しているとの指摘があります。




よって,東京地裁や東京簡裁の裁判例は,その他の地域においても先例性を有するかどうかは疑問があります。




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(以下は,東京都都市整備局のホームページから一部抜粋)


宅建業者が説明する具体的な内容として、
条例施行規則第2条第3項に基づく「説明を適正に行うために必要な事項」を定めています。
要約すると次の4点になります。
①退去時における住宅の損耗等の復旧について(原状回復の基本的な考え方)
②住宅の使用及び収益に必要な修繕について(入居中の修繕の基本的な考え方)
③実際の契約における賃借人の負担内容について(特約の有無や内容など)
④入居中の、設備等の修繕及び維持管理等に関する連絡先




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(2)


国土交通省のホームページの
賃貸住宅の入居・退去に係る留意点における
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000026.html




以下のAには不適切な内容が含まれていますので注意が必要です。


リンク先のさらに詳しく(ガイドライン)の内容を反映していないAとなっています。


このAだけを読むと誤解を招きかねない内容となっています。


専門家に相談してください。


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国土交通省のホームページから抜粋


賃貸住宅の入居・退去に係る留意点




Q.請求がきた原状回復費用に納得がいきません。請求額どおりに支払わなければならないのでしょうか。
A.既に締結されている賃貸借契約に、支払う旨の規定や特約がある場合は支払わなければならないと考えられます。もう一度よく契約書の記載内容と請求書の記載内容をご確認ください。


Q.退去時に鍵の交換費用、ハウスクリーニング費用を借主(入居者)が負担することになっている特約は有効なのでしょうか。
A.契約にその旨の規定がある場合には、鍵交換等の特約は有効なものとして扱われます。これらの特約の有効性に関しては、最高裁の判断も示されています。


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2019年4月12日金曜日

弁護士法72条違反と賃貸不動産管理業者の行為



(1)
編著/一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会
『改訂4版 賃貸不動産管理の知識と実務』  平成31年3月 大成出版社


の221頁以降において,


東京地判平23.2.24(ウエストロージャパン)及び最判平22.7.20判タ1333号115頁などを引用して,


賃貸不動産管理業者の弁護士法72条に違反する行為に関する解釈が記載されております。


(2)
なお,『賃貸不動産管理の知識と実務』 の最初のページには,


国土交通省の不動産業課長が「刊行に寄せて」を記載しており,


次のページには, 賃貸不動産経営管理士協議会の名前で「本書の作成にあたり熱心にご意見をお寄せいただいた関係者各位に深く感謝申し上げます。」との記載があることから,


国土交通省の弁護士法72条違反に関する解釈であると思われます。


(3)
『賃貸不動産管理の知識と実務』の初版(平成25年)と改訂4版(平成31年)を比較したところ,


弁護士法72条の解釈に関する記載は,初版の2段落を削除した以外は,初版も改訂4版も記載内容は同じでした。


よって,初版から6年経過しても,弁護士法72条の解釈は厳しくも緩くもなっていないようです。


(4)
当事務所は,司法書士(簡裁代理認定司法書士)ですので,


140万円以内の滞納賃料・原状回復費用の請求の交渉代理及び訴訟代理,


対象の賃貸物件の評価額が280万円以内の明渡し請求の交渉代理及び訴訟代理について,


司法書士法3条に基づいて業務をすることが可能です。




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2019年4月1日月曜日

債権法改正と連帯保証の消滅時効の完成猶予・更新



(1)現行民法(債権法改正前)においては,民法458条及び民法434条により,


連帯保証人に対する履行の請求は,主たる債務者に対してもその効力が生じる。


よって,債権者が債権の時効を中断する方法としては,


連帯保証人のみを被告として訴訟を提起して,


勝訴判決(確定判決)を獲得する方法によっても,


主たる債務者に対して時効の中断効を及ぼすことができる。


主たる債務者が行方不明で公示送達の手続が煩雑な場合などには,


連帯保証人のみを被告とする方法は,主たる債務者に対する簡易な時効中断の方法といえる。


なお,債権者の連帯保証人に対する確定判決による時効期間の10年間への延長効(民法174条の2)は,主たる債務者には及ばない(太判昭和20年9月10日民集24・2・82)。




(2)債権法の改正により,民法434条は削除されることとなったため,


債権法改正の以後は,原則として連帯保証人に対する履行の請求は,主たる債務者には及ばないこととなった。主たる債務の時効を中断するため,連帯保証人のみを被告とする方法は採れなくなった。


ただし,改正民法459条により,別段の意思表示によることが認められているため,


特約により,連帯保証人に対する請求を主たる債務者にも及ぼすことはできるようになっている。




(3)債権法の改正前後を問わず,連帯保証人の債務の承認(権利の承認)は主たる債務者には及ばないので,


債権者と連帯保証人が裁判外で和解をする方法では,主たる債務の時効は中断されない(更新されない。)。




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2019年1月28日月曜日

建物買取請求権の行使の方法



(1)借地契約の存続期間の満了時において,


借地権者(借地人)は借地契約の更新を望まないが,


借地権設定者(地主)は借地契約の更新を望む場合,


借地法第4条第2項・借地借家法第13条第1項に基づいて,借地権者は借地上の建物の買取請求権を行使することができるのかという問題があります。


私見は,否定説です。


(2)否定説は,以下のとおりです。


我妻 榮 『民法講義V2』
「貸主が更新に應じない場合に限る。」


星野 英一 『借地・借家法』
「地主が更新を望んでいる場合には借地人には買取請求権がないのはいうまでもない。」


馬場 俊一 『問答式 借地・借家の実務1』
「地主が更新を望んでいるのに借地人より任意に終了する場合には,借地人は買取請求権を行使できません。」


山本 豊 『コンメンタール借地借家法(第2版)』
「借地権設定者は更新を認める意思を表示して買取りを免れることができる。」




(3)肯定説は,以下のとおりです。


高島 良一 『借地の法律実務(第3版)』
「建物買取請求権を認めた借地借家法などの条文をみますと,(略),借地人の更新の請求に対する地主の異議があって,契約が更新されないときに,買取請求ができるとなっています。これを文字どおり解釈しますと,買取請求は,借地人の更新の請求が前提となり,本問のように,借地人であるあなたの方から「更新の請求をしないで借地権を消滅させる場合」には,地主が承諾しなければ,建物を買い取らせることはできないといえそうです。(略)
 本問のように,故郷に帰るため借地を必要としなくなるので,建物を売り,これを資金として新しい生活を始める場合には,建物をそのままにしておいて,借地人に資金を回収するみちを開いておく必要があります。
 このように考えますと,借地人が更新を請求しないで,借地契約を終了させる場合にも,買取請求をすることができると解釈するのが適当と考えます。」


(4)借地契約の更新を希望している場合の借地権設定者にすれば,建物買取請求権を行使が認められますと,突然に買取のための現金を用意する必要が生じますので,この点からも否定説の方が適切だと思われます。




ところで,借地法第10条・借地借家法第14条には,借地権者は第三者に借地上の建物及び借地権を譲渡し,その譲渡について借地権設定者が承諾しない場合には,第三者は建物買取請求権を行使することができると規定されています。


当然ながら,この場合において,借地権設定者が借地権の譲渡を承諾すれば,第三者は建物買取請求権を行使することができません。


否定説によりますと,借地権設定者が借地契約の更新(継続)を望む方針の場合には,もともとの借地権者のときでも,借地権を譲り受けた第三者のときでも,借地権設定者は建物買取請求権を行使されない地位が保障されているということで一貫していることになります。


借地権者は建物買取請求権を行使できないとしても,第三者に建物付きの借地権を売却することにより,投下資本を回収する方法がありますので,否定説によって,とくに借地権者に不利益が生じるとはいえません。


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