東京地判 平23・10・13 ウエストロージャパン
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/87/87-118.pdf
<事実の概要>
原告Xは,被告Yから騒音の被害を受けているとの執拗な苦情を申し立てられていた。そこで,原告Xは,苦情の申立てが原告Xの名誉感情を侵害したとして,被告Yに対し損害賠償請求をした(本訴)。
一方,被告Yは,原告Xに対し,騒音による損害賠償請求をした(反訴)。
<判決の内容>
東京地方裁判所は,本訴請求を一部認容(慰謝料30万円と弁護士費用3万円)し,反訴請求を棄却した。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
裁判所は,騒音を否定する事情のひとつとして,被告Yは,原告Xが当該部屋に不在であった期間中についても,複数回にわたり,管理人を通じて苦情を申し立てていたことを挙げている。
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ブログ記載時の法律に基づいています。具体的な事件については,必ず専門家にご相談ください。 司法書士・行政書士・社会保険労務士 石原拓郎
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2012年12月31日月曜日
2012年12月21日金曜日
駐車場の賃料収入と不当利得に関する判例
事件番号 平成23(受)1626
事件名 所有権移転登記手続,持分移転登記抹消登記手続等,持分権確認等請求事件
裁判年月日 平成24年12月21日 最高裁判所第二小法廷 判決
裁判要旨
将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82846&hanreiKbn=02
*共有者の1人が共有物を第三者に賃貸して得る収益につき,
その持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち,事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,
その性質上,将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものである。
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事件名 所有権移転登記手続,持分移転登記抹消登記手続等,持分権確認等請求事件
裁判年月日 平成24年12月21日 最高裁判所第二小法廷 判決
裁判要旨
将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82846&hanreiKbn=02
*共有者の1人が共有物を第三者に賃貸して得る収益につき,
その持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち,事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,
その性質上,将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものである。
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2012年11月4日日曜日
更新料などの特約に関する下級審判例(最判平23年7月15日以降)
(1)大阪高判平成23年9月16日
(平成23年(ネ)第1364号更新料返還請求控訴事件)
*賃料 月5万1000円
*更新料 10万2000円(1年更新,賃料の2ヵ月分)
【判決の内容】
①更新料の特約:有効
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
(2)大阪高判平24年3月8日
(平成23年(ネ)第3196号敷金返還等請求控訴事件)
*賃料 月5万1000円
*基本清掃料 2万6250円
*更新料 15万円(1年更新,賃料の2.941月分)
*更新の事務手数料(1万0500円)
【判決の内容】
①基本清掃料の特約:有効
②更新料の特約:有効
③更新料の事務手数料の特約:有効
④修理代金名目の約8万円:無効
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
(3)大阪高判平24年7月27日
(平成24年(ネ)第1045号,第1780号更新料等返還請求控訴,同附帯控訴事件)
*礼金18万円
*敷金10万円
*賃料 月4万8000円
*更新料 15万円(1年更新 賃料の3.125ヵ月分)
【判決の内容】
①更新料の特約:有効
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(平成23年(ネ)第1364号更新料返還請求控訴事件)
*賃料 月5万1000円
*更新料 10万2000円(1年更新,賃料の2ヵ月分)
【判決の内容】
①更新料の特約:有効
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(2)大阪高判平24年3月8日
(平成23年(ネ)第3196号敷金返還等請求控訴事件)
*賃料 月5万1000円
*基本清掃料 2万6250円
*更新料 15万円(1年更新,賃料の2.941月分)
*更新の事務手数料(1万0500円)
【判決の内容】
①基本清掃料の特約:有効
②更新料の特約:有効
③更新料の事務手数料の特約:有効
④修理代金名目の約8万円:無効
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(3)大阪高判平24年7月27日
(平成24年(ネ)第1045号,第1780号更新料等返還請求控訴,同附帯控訴事件)
*礼金18万円
*敷金10万円
*賃料 月4万8000円
*更新料 15万円(1年更新 賃料の3.125ヵ月分)
【判決の内容】
①更新料の特約:有効
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2012年9月21日金曜日
敷金返還請求の請求原因
賃借人をX,賃貸人をYとすると,
(1)建物賃貸借契約における敷金返還請求の請求原因は,
①XとYが,本件建物について賃貸借契約を締結したこと
②YがXに対し,①に契約に基づき本件建物を引し渡したこと
③XとYが敷金授受の合意をし,これに基づいてXがYに敷金を交付したこと
④本件賃貸借契約が終了したこと
⑤XがYに対し,賃貸借契約終了に基づき本件建物を返還したこと
⑥XがYに対し,②から④までの期間の賃料及び④から⑤までの期間の賃料相当損害金を支払ったこと
(2)原状回復費用の控除の抗弁事実は,
①本件建物の明渡し・退去時に,修繕・交換を必要とする限度の損耗・汚損した部分があること
②当該損耗・汚損が,Xの入居期間中に発生したこと
③当該損耗・汚損が,通常の使用により生ずる程度を越えること,
又は通常の使用により生じる損耗・汚損の修繕・交換費用についてXが負担するとの合意があること(原状回復特約)
④Yが,当該損耗・汚損した部分の修繕・交換のために費用を支出したこと
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(1)建物賃貸借契約における敷金返還請求の請求原因は,
①XとYが,本件建物について賃貸借契約を締結したこと
②YがXに対し,①に契約に基づき本件建物を引し渡したこと
③XとYが敷金授受の合意をし,これに基づいてXがYに敷金を交付したこと
④本件賃貸借契約が終了したこと
⑤XがYに対し,賃貸借契約終了に基づき本件建物を返還したこと
⑥XがYに対し,②から④までの期間の賃料及び④から⑤までの期間の賃料相当損害金を支払ったこと
(2)原状回復費用の控除の抗弁事実は,
①本件建物の明渡し・退去時に,修繕・交換を必要とする限度の損耗・汚損した部分があること
②当該損耗・汚損が,Xの入居期間中に発生したこと
③当該損耗・汚損が,通常の使用により生ずる程度を越えること,
又は通常の使用により生じる損耗・汚損の修繕・交換費用についてXが負担するとの合意があること(原状回復特約)
④Yが,当該損耗・汚損した部分の修繕・交換のために費用を支出したこと
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2012年9月13日木曜日
借地借家法38条2項所定の書面に関する判例
最高裁判所は,
「借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。」
と判断し,賃貸人の定期建物賃貸借契約の終了に基づく明渡し請求を棄却しました。
(よって,定期建物賃貸借条項が無効になる結果,本件賃貸借契約は約定期間(5年間)の経過後は,期間の定めのない賃貸借契約になります。)
ーーーーーーーーーーーーーー
本件事案では,賃貸人は賃借人に対し,借地借家法38条2項所定の書面を交付していませんでしたが,契約締結前に定期建物賃貸借契約書の原案を送付しており,賃借人は原案の内容を検討していました。
原審は,契約書の原案に定期建物賃貸借条項の記載があることから,原案を検討した賃借人は定期建物賃貸借契約との認識を有していたといえる。よって,借地借家法38条2項所定の書面の交付がなくても,定期建物賃貸借契約は成立していると判断しました。
しかし,最高裁判所は,借地借家法38条2項の趣旨は,契約締結に先立ち,契約締結の意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争を未然に防止することにあるものと解される。
契約締結に至る経緯,契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく形式的,画一的に取り扱うのが相当である。
よって,借地借家法38条2項所定の書面は,賃貸借契約書とは,別個独立の書面であることを要すると判断しました。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
事件番号 平成22(受)1209
事件名 建物明渡請求事件
裁判年月日 平成24年09月13日 最高裁判所第一小法廷 判決
結果 破棄自判
判示事項
裁判要旨
借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。
ーーーーーーーーーー
(定期建物賃貸借)
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82539&hanreiKbn=02
ーーーーーーーーー
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「借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。」
と判断し,賃貸人の定期建物賃貸借契約の終了に基づく明渡し請求を棄却しました。
(よって,定期建物賃貸借条項が無効になる結果,本件賃貸借契約は約定期間(5年間)の経過後は,期間の定めのない賃貸借契約になります。)
ーーーーーーーーーーーーーー
本件事案では,賃貸人は賃借人に対し,借地借家法38条2項所定の書面を交付していませんでしたが,契約締結前に定期建物賃貸借契約書の原案を送付しており,賃借人は原案の内容を検討していました。
原審は,契約書の原案に定期建物賃貸借条項の記載があることから,原案を検討した賃借人は定期建物賃貸借契約との認識を有していたといえる。よって,借地借家法38条2項所定の書面の交付がなくても,定期建物賃貸借契約は成立していると判断しました。
しかし,最高裁判所は,借地借家法38条2項の趣旨は,契約締結に先立ち,契約締結の意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争を未然に防止することにあるものと解される。
契約締結に至る経緯,契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく形式的,画一的に取り扱うのが相当である。
よって,借地借家法38条2項所定の書面は,賃貸借契約書とは,別個独立の書面であることを要すると判断しました。
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事件番号 平成22(受)1209
事件名 建物明渡請求事件
裁判年月日 平成24年09月13日 最高裁判所第一小法廷 判決
結果 破棄自判
判示事項
裁判要旨
借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。
ーーーーーーーーーー
(定期建物賃貸借)
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
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最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82539&hanreiKbn=02
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2012年9月5日水曜日
数量指示売買に関する下級審判例
公簿面積どおりの実測面積がなかったとして、数量指示売買における担保責任を根拠に契約解除等を主張したが、棄却された事例
(東京地判 平24・4・18 ウエストロージャパン) 石原賢太郎
①土地売買契約書には、第2条で「売主及び買主は本物件の対象面積を標記面積(A)とし、実測面積との間に差異が生じても互いに異議を申し立てないとともに、売買代金増減の請求をしないものとする。」と記載されていたこと,
②特約条項で「本契約物件は現状有姿の公簿取引とする。」と記載されていること、重要事項説明書には「登記簿面積合計68.56㎡」と記載され、「実測面積合計」は空欄であったこと,
③測量をしないかわりに近隣相場より低価格で売買することにし、Xも相場より安いことを認識していたこと,
などを理由に,買主Xの請求を棄却しました。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/86/86-086.pdf
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(東京地判 平24・4・18 ウエストロージャパン) 石原賢太郎
①土地売買契約書には、第2条で「売主及び買主は本物件の対象面積を標記面積(A)とし、実測面積との間に差異が生じても互いに異議を申し立てないとともに、売買代金増減の請求をしないものとする。」と記載されていたこと,
②特約条項で「本契約物件は現状有姿の公簿取引とする。」と記載されていること、重要事項説明書には「登記簿面積合計68.56㎡」と記載され、「実測面積合計」は空欄であったこと,
③測量をしないかわりに近隣相場より低価格で売買することにし、Xも相場より安いことを認識していたこと,
などを理由に,買主Xの請求を棄却しました。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/86/86-086.pdf
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2012年9月4日火曜日
賃料債権の差押えと賃借人への賃借建物譲渡による賃貸借契約終了に関する判例
事件番号 平成22(受)1280
事件名 所有権移転登記抹消登記手続等,賃料債権取立請求事件
裁判年月日 平成24年09月04日 最高裁判所第三小法廷 判決
結果 その他
判示事項
裁判要旨
賃料債権の差押えの効力発生後に賃貸借契約が終了した場合において,その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることの可否
ーーーーーーーーーーーーーーー
賃貸人が賃借人に賃貸借契約の目的である
建物を譲渡したことにより賃貸借契約が終了した以上は,
その終了が賃料債権の差押えの効力発生後であっても,
賃貸人と賃借人との人的関係,当該建物を譲渡するに至った経緯及び態様その他の諸般の事情に照らして,
賃借人において賃料債権が発生しないことを主張することが信義則上許されないなどの特段の事情がない限り,
差押債権者は,第三債務者である賃借人から,
当該譲渡後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができないというべきである。
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82521&hanreiKbn=02
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事件名 所有権移転登記抹消登記手続等,賃料債権取立請求事件
裁判年月日 平成24年09月04日 最高裁判所第三小法廷 判決
結果 その他
判示事項
裁判要旨
賃料債権の差押えの効力発生後に賃貸借契約が終了した場合において,その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることの可否
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賃貸人が賃借人に賃貸借契約の目的である
建物を譲渡したことにより賃貸借契約が終了した以上は,
その終了が賃料債権の差押えの効力発生後であっても,
賃貸人と賃借人との人的関係,当該建物を譲渡するに至った経緯及び態様その他の諸般の事情に照らして,
賃借人において賃料債権が発生しないことを主張することが信義則上許されないなどの特段の事情がない限り,
差押債権者は,第三債務者である賃借人から,
当該譲渡後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができないというべきである。
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82521&hanreiKbn=02
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2012年9月3日月曜日
売買契約中に売主が死亡した場合の相続税の課税財産
土地等の売買契約中に売主に相続が開始した場合における相続税の課税財産は、相続開始後に相続人が当該売買契約を解除した場合であっても、売買残代金請求権とするのが相当であるとした事例
相続税の納税義務は、相続による財産を取得した時、すなわち、相続開始の時に成立するものと解される。
そして、相続により取得した財産の価額の合計額をもって相続税の課税価格とすることとされており、相続により取得した財産の価額は、原則として、当該財産の取得の時における時価によることとされていることから、相続開始後の当該財産に生じた事情は、制度の上の措置がなされている場合など、これを考慮すべき特段の事情と認められない限り考慮されないこととなる。
また、相続開始時に売買契約が締結されている土地等について、相続税の課税対象となる財産を判定するに当たっては、相続開始の時において、売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していると認められるか否かの観点から判定するのが相当と解される。
そうすると、このようにして判定した相続税の課税対象となる財産について、相続開始後に何らかの事情が生じたとしても、相続開始の時において売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していると認めることが不相当であるというべき特段の事情でない限り、その事情は考慮されるものではないと解される。
本件売買契約の各当事者は、本件売買契約の実現に向け、本件売買契約書に定められた各条項を誠実に履行し、本件相続の開始時において、本件各土地建物の引渡予定日及び売買残代金の決済予定日の決定していたことが認められる。
このように、本件相続の開始時において、本件売買契約が履行されることが確実であると認められるような状況下にあっては、本件各土地建物の所有権が本件被相続人に残っているとしても、もはやその実質は本件売買契約に係る売買残代金請求権を確保するための機能を有するにすぎないものといえ、請求人らが相続した本件各土地建物は、独立して相続税の課税財産を構成しないというべきである。
そして、請求人らが本件相続の開始後に行った本件売買契約の解除は、本件被相続人から本件売買契約に係る契約上の地位を承継した請求人らの意思によるものであり、当該解除をもって、相続開始時において売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していると認めることが不相当であるというべき特段の事情ということはできないから、本件相続の開始時において、売買残代金請求権は確定的に本件被相続人に帰属していると認めるのが相当である。
そうすると、本件相続に係る相続税の課税財産とすべき財産は、本件売買契約に係る売買残代金請求権である。
平成21年9月16日裁決
裁決事例集 No.78 - 419頁
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相続税の納税義務は、相続による財産を取得した時、すなわち、相続開始の時に成立するものと解される。
そして、相続により取得した財産の価額の合計額をもって相続税の課税価格とすることとされており、相続により取得した財産の価額は、原則として、当該財産の取得の時における時価によることとされていることから、相続開始後の当該財産に生じた事情は、制度の上の措置がなされている場合など、これを考慮すべき特段の事情と認められない限り考慮されないこととなる。
また、相続開始時に売買契約が締結されている土地等について、相続税の課税対象となる財産を判定するに当たっては、相続開始の時において、売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していると認められるか否かの観点から判定するのが相当と解される。
そうすると、このようにして判定した相続税の課税対象となる財産について、相続開始後に何らかの事情が生じたとしても、相続開始の時において売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していると認めることが不相当であるというべき特段の事情でない限り、その事情は考慮されるものではないと解される。
本件売買契約の各当事者は、本件売買契約の実現に向け、本件売買契約書に定められた各条項を誠実に履行し、本件相続の開始時において、本件各土地建物の引渡予定日及び売買残代金の決済予定日の決定していたことが認められる。
このように、本件相続の開始時において、本件売買契約が履行されることが確実であると認められるような状況下にあっては、本件各土地建物の所有権が本件被相続人に残っているとしても、もはやその実質は本件売買契約に係る売買残代金請求権を確保するための機能を有するにすぎないものといえ、請求人らが相続した本件各土地建物は、独立して相続税の課税財産を構成しないというべきである。
そして、請求人らが本件相続の開始後に行った本件売買契約の解除は、本件被相続人から本件売買契約に係る契約上の地位を承継した請求人らの意思によるものであり、当該解除をもって、相続開始時において売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していると認めることが不相当であるというべき特段の事情ということはできないから、本件相続の開始時において、売買残代金請求権は確定的に本件被相続人に帰属していると認めるのが相当である。
そうすると、本件相続に係る相続税の課税財産とすべき財産は、本件売買契約に係る売買残代金請求権である。
平成21年9月16日裁決
裁決事例集 No.78 - 419頁
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2012年9月2日日曜日
最高裁平成24年4月6日第2小法廷判決
平成22年(受)第754号建物明渡請求事件
判決要旨
第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合には,控訴審は,当該建物の明渡請求と併合されている賃料相当損害金等の支払請求の当否や同請求に対する抗弁において主張されている敷金返還請求権の存否についても,当該明渡しの事実を考慮することなく,判断すべきである。
ーーーーーーーーーーーーーー
(登記情報610号 90頁 の無署名解説から抜粋)
仮執行による給付であっても実体法上の効果が生じるのであり,ただ当該効果は確定的なものではなくて解除条件付きであることから,控訴審は訴訟手続上その事実を考慮することができないというにすぎない。
仮執行による本件建物の明渡しは,解除条件付とはいえ,その実体上の効果,すなわち履行遅滞の終了や不法占有の終了という効果を生じさせるものであり,これによって明渡後の賃料相当損害金等はもはや生じないことになる(が・・・)。
仮執行宣言付きの第1審判決が確定した場合,所有者(賃貸人)は,この確定判決に基づく執行の際,本件建物の明渡しを重ねて求めることはできないのはもちろん,仮執行によって現実に明け渡された日より後の賃料相当損害金等についても,その執行を求めることができず,仮に執行を求めたとしても賃借人の請求異議等によって妨げられるものと解されるものである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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判決要旨
第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合には,控訴審は,当該建物の明渡請求と併合されている賃料相当損害金等の支払請求の当否や同請求に対する抗弁において主張されている敷金返還請求権の存否についても,当該明渡しの事実を考慮することなく,判断すべきである。
ーーーーーーーーーーーーーー
(登記情報610号 90頁 の無署名解説から抜粋)
仮執行による給付であっても実体法上の効果が生じるのであり,ただ当該効果は確定的なものではなくて解除条件付きであることから,控訴審は訴訟手続上その事実を考慮することができないというにすぎない。
仮執行による本件建物の明渡しは,解除条件付とはいえ,その実体上の効果,すなわち履行遅滞の終了や不法占有の終了という効果を生じさせるものであり,これによって明渡後の賃料相当損害金等はもはや生じないことになる(が・・・)。
仮執行宣言付きの第1審判決が確定した場合,所有者(賃貸人)は,この確定判決に基づく執行の際,本件建物の明渡しを重ねて求めることはできないのはもちろん,仮執行によって現実に明け渡された日より後の賃料相当損害金等についても,その執行を求めることができず,仮に執行を求めたとしても賃借人の請求異議等によって妨げられるものと解されるものである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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2012年8月31日金曜日
建物の明渡しおよび未払賃料の請求
X:本件建物の所有者及び賃貸人
Y1:本件建物の賃借人
Y2及びY3:本件建物の占有者
Y4:Y1の連帯保証人
Y1が賃料を滞納したので,Xが賃貸借契約を解除し,
Xは,Y1,Y2,Y3及びY4を訴えました。
①本件建物の賃借人であるY1に対しては賃料不払解除による賃貸借契約の終了に基づき,本件建物を占有するY2およびY3に対しては所有権に基づき,それぞれ本件建物の明渡しを求めるとともに,
②Y1及びその連帯保証人であるY4に対しては未払賃料及び本件建物の明渡し済みまでの約定損害金の支払を,Y2及びY3に対しては不法行為に基づく本件建物の明渡し済みまでの賃料相当損害金の支払をそれぞれ求めることになります。
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Y1:本件建物の賃借人
Y2及びY3:本件建物の占有者
Y4:Y1の連帯保証人
Y1が賃料を滞納したので,Xが賃貸借契約を解除し,
Xは,Y1,Y2,Y3及びY4を訴えました。
①本件建物の賃借人であるY1に対しては賃料不払解除による賃貸借契約の終了に基づき,本件建物を占有するY2およびY3に対しては所有権に基づき,それぞれ本件建物の明渡しを求めるとともに,
②Y1及びその連帯保証人であるY4に対しては未払賃料及び本件建物の明渡し済みまでの約定損害金の支払を,Y2及びY3に対しては不法行為に基づく本件建物の明渡し済みまでの賃料相当損害金の支払をそれぞれ求めることになります。
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無断売買と司法書士
平成24年4月23日 注意勧告(月報司法書士2012年8月号120頁)
司法書士Aが,売主(所有者)と一度も面談することなく売買に基づく所有権移転登記を代理申請した事例
(概略)
売主Bは,平成19年には寝たきり状態で病院に入院しており,主治医からは後見程度の診断書が出されている。
平成23年,司法書士Aは買主Cから,土地建物の売買に基づく所有権移転登記の代理申請の依頼を受けた。
司法書士Aは買主Cから,売主Bは意思確認がうまくできない可能性が高いことを聞いた。
司法書士Aは売主Bの長男Dから,売主Bが租税公課の滞納処分を受けそうだとか,任意売却の話しもでているとか言われて,懇願された。
司法書士Aは,売主Bの推定相続人全員である長男D,次男E,三男Fの実印を押印した承諾書(印鑑証明書添付)を取得すれば,問題は生じないと考えた。
司法書士Aは,売主Bに対し,一度も面談することも連絡をとることもなく(つまり,売主の売買契約締結の意思確認,売主の本人確認,売主の代理人に対する代理権授与確認をまったくしていないことになる),
土地建物の売買に基づく所有権移転登記の代理申請をおこない,登記は完了した。
平成23年,司法書士Aは,G(たぶん,土地建物の利害関係人)から懲戒処分の申立てを受けた。
平成24年,司法書士Aは注意勧告処分を受けた。
*本件では,司法書士Aは売主Bに直接面談をし,売主Bの判断能力に問題があれば,成年後見制度を利用して売買契約を締結し,所有権移転登記を代理申請すべきでした。
相続が発生したときに,推定相続人は相続人になれるのであって,被相続人が生きている間は,推定相続人には被相続人の相続財産に対する権利はありません。
よって,本件売買契約は,無権代理人による売買ですので無効になります。
成年後見制度を利用するには,家庭裁判所への申立てが必要で,時間がかかることもあり,この司法書士Aのような脱法行為のうわさは見聞することがあります。
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司法書士Aが,売主(所有者)と一度も面談することなく売買に基づく所有権移転登記を代理申請した事例
(概略)
売主Bは,平成19年には寝たきり状態で病院に入院しており,主治医からは後見程度の診断書が出されている。
平成23年,司法書士Aは買主Cから,土地建物の売買に基づく所有権移転登記の代理申請の依頼を受けた。
司法書士Aは買主Cから,売主Bは意思確認がうまくできない可能性が高いことを聞いた。
司法書士Aは売主Bの長男Dから,売主Bが租税公課の滞納処分を受けそうだとか,任意売却の話しもでているとか言われて,懇願された。
司法書士Aは,売主Bの推定相続人全員である長男D,次男E,三男Fの実印を押印した承諾書(印鑑証明書添付)を取得すれば,問題は生じないと考えた。
司法書士Aは,売主Bに対し,一度も面談することも連絡をとることもなく(つまり,売主の売買契約締結の意思確認,売主の本人確認,売主の代理人に対する代理権授与確認をまったくしていないことになる),
土地建物の売買に基づく所有権移転登記の代理申請をおこない,登記は完了した。
平成23年,司法書士Aは,G(たぶん,土地建物の利害関係人)から懲戒処分の申立てを受けた。
平成24年,司法書士Aは注意勧告処分を受けた。
*本件では,司法書士Aは売主Bに直接面談をし,売主Bの判断能力に問題があれば,成年後見制度を利用して売買契約を締結し,所有権移転登記を代理申請すべきでした。
相続が発生したときに,推定相続人は相続人になれるのであって,被相続人が生きている間は,推定相続人には被相続人の相続財産に対する権利はありません。
よって,本件売買契約は,無権代理人による売買ですので無効になります。
成年後見制度を利用するには,家庭裁判所への申立てが必要で,時間がかかることもあり,この司法書士Aのような脱法行為のうわさは見聞することがあります。
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中古マンションの購入
中古マンションの購入ですが,
①一番注意すべきは,建築(新築)年月日です。
昭和56年6月1日から改正建築基準法による新耐震基準が適用されるようになりました。
バブルの時期に建築されたマンションは,手抜きの可能性があるので避けた方が良い気がします。
使用目的にもよるでしょうが,中古マンションは築15年以内のものにすべきでしょうし,平成7年の阪神淡路大震災の後に建築されたマンションの方が安全のような気がしますので,
平成9年以降に建築されたマンションが,いいのではないでしょうか?
②マンションの住人を見ること。
住人に高齢者が多い場合は,10年から20年の経過すると,転居などにより,空き家が増え,マンションの管理に支障が生じる可能性が高いです。
③立地条件。
古いマンションでも,駅に近いなどにより建築年月日のマイナスをカバーできる場合があります。しかし,マンション本体部分の老朽化には勝てませんので,注意しましょう。
④修繕積立金。
修繕積立金が不足している,住人に修繕積立金および管理費の滞納者がいる,そもそも空き家が多い(空き家の住人は修繕積立金および管理費の不払いの可能性が高い)マンションは,論外です。
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①一番注意すべきは,建築(新築)年月日です。
昭和56年6月1日から改正建築基準法による新耐震基準が適用されるようになりました。
バブルの時期に建築されたマンションは,手抜きの可能性があるので避けた方が良い気がします。
使用目的にもよるでしょうが,中古マンションは築15年以内のものにすべきでしょうし,平成7年の阪神淡路大震災の後に建築されたマンションの方が安全のような気がしますので,
平成9年以降に建築されたマンションが,いいのではないでしょうか?
②マンションの住人を見ること。
住人に高齢者が多い場合は,10年から20年の経過すると,転居などにより,空き家が増え,マンションの管理に支障が生じる可能性が高いです。
③立地条件。
古いマンションでも,駅に近いなどにより建築年月日のマイナスをカバーできる場合があります。しかし,マンション本体部分の老朽化には勝てませんので,注意しましょう。
④修繕積立金。
修繕積立金が不足している,住人に修繕積立金および管理費の滞納者がいる,そもそも空き家が多い(空き家の住人は修繕積立金および管理費の不払いの可能性が高い)マンションは,論外です。
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2012年8月16日木曜日
マンションの携帯電話基地局の設置を普通決議で足りるとした事例
マンションの屋上に携帯電話の基地局を設置する際に総会の普通決議で足りるとした事例
本件は、電気通信会社が携帯電話の基地局等を設置するため、マンション管理組合との間で、10年間、マンション屋上の一部を賃借する契約を締結したが、マンションの居住者から設置工事を妨害されたため、賃借権の確認および設置工事の妨害禁止を求めて訴えを提起したものである。
(札幌高裁平成21年2月27日判決、『判例タイムズ』1304号201ページ)
国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201208_10.pdf
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本件は、電気通信会社が携帯電話の基地局等を設置するため、マンション管理組合との間で、10年間、マンション屋上の一部を賃借する契約を締結したが、マンションの居住者から設置工事を妨害されたため、賃借権の確認および設置工事の妨害禁止を求めて訴えを提起したものである。
(札幌高裁平成21年2月27日判決、『判例タイムズ』1304号201ページ)
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http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201208_10.pdf
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2012年8月1日水曜日
資産価値のない不動産(土地・建物)と物納
納税は現金が原則であり,
物納(土地,建物等で納税する)は例外です。
しかも,物納は相続税に限って認められる制度ですので,
相続税以外の税金を納税する場合,
資産価値がない場合は当然,資産価値があったとしても,物納することはできません。
*なお,資産価値のない不動産について,市町村に寄付するという方法もありますが,
相当な利用価値がある場合でなければ,
市町村は寄付を拒絶しているようです。
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2012年6月23日土曜日
通常損耗負担特約と敷引特約
最判平17年12月16日判タ1200号127頁(通常損耗負担特約)と
最判平23年3月24日民集65巻2号903頁(敷引特約)との関係性
最判平17年は,通常損耗の補修義務を賃借人に負わせる特約につき,厳格に解したと理解されています。
賃借人は賃貸借契約の締結時において,退去時の通常損耗の補修費用の金額を具体的に予想することが困難であり,結果として予想外の高額な補修費用を請求されるおそれがあることから,最高裁は厳格に解したと想定されます。
一方,最判平23年は,本件敷引特約が消費者契約法10条により無効であるということはできないと判示しました。
賃貸借契約の締結前の段階で,契約書に敷引金の額が確定金額として明示されており,賃借人が契約書の敷引特約を認識した上で契約を締結することから,予想外の高額な費用を請求されるおそれがなく,敷引金の額が高額に過ぎるものではなかったので,最高裁は有効と判示したと想定されます。
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最判平23年3月24日民集65巻2号903頁(敷引特約)との関係性
最判平17年は,通常損耗の補修義務を賃借人に負わせる特約につき,厳格に解したと理解されています。
賃借人は賃貸借契約の締結時において,退去時の通常損耗の補修費用の金額を具体的に予想することが困難であり,結果として予想外の高額な補修費用を請求されるおそれがあることから,最高裁は厳格に解したと想定されます。
一方,最判平23年は,本件敷引特約が消費者契約法10条により無効であるということはできないと判示しました。
賃貸借契約の締結前の段階で,契約書に敷引金の額が確定金額として明示されており,賃借人が契約書の敷引特約を認識した上で契約を締結することから,予想外の高額な費用を請求されるおそれがなく,敷引金の額が高額に過ぎるものではなかったので,最高裁は有効と判示したと想定されます。
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更新料に関する判例
借地の更新料に関する判例
①最判昭51年10月1日判時835号63頁
「法定更新に際し,賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習または事実たる慣習は存在しない。」
②最判昭59年4月20日民集38巻6号610頁
「賃借権の存続期間の満了にあたり賃借人が賃貸人に更新料の支払を約しながらこれを履行しなかった場合において,更新料が,将来の賃料の一部,借地法4条1項および6条所定の更新に係る異議権放棄の対価,紛争の解決金としての性質を有するときは,賃貸人は,更新料の支払義務の不履行を理由として,更新された後の賃貸借契約を解除することができる。」
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①最判昭51年10月1日判時835号63頁
「法定更新に際し,賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習または事実たる慣習は存在しない。」
②最判昭59年4月20日民集38巻6号610頁
「賃借権の存続期間の満了にあたり賃借人が賃貸人に更新料の支払を約しながらこれを履行しなかった場合において,更新料が,将来の賃料の一部,借地法4条1項および6条所定の更新に係る異議権放棄の対価,紛争の解決金としての性質を有するときは,賃貸人は,更新料の支払義務の不履行を理由として,更新された後の賃貸借契約を解除することができる。」
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2012年6月15日金曜日
不動産取引・管理に関する実務実態調査(平成23年度)
不動産取引・管理に関する実務実態調査(平成23年度)
1 売買・売買仲介(代理を含む)アンケート
2 賃貸住宅管理アンケート
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/research/research01.html
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1 売買・売買仲介(代理を含む)アンケート
2 賃貸住宅管理アンケート
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/research/research01.html
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2012年5月14日月曜日
賃料の弁済供託が無効とされた下級審判例
賃料の弁済供託が無効とされた下級審判例
(東京地方裁判所 平成23年3月17日判決)
契約書には,賃料の支払い方法が,
銀行振り込みと指定されていたにもかかわらず,
小切手入金による支払いが信用金庫に拒絶されたことから,
受領拒絶を理由に供託したところ,
当該供託は無効と判断され,
信頼関係の破壊(賃料不払いを含む)を原因として,
賃貸借契約の解除が認められた事例。
なお,賃貸人の弁護士から当該供託は無効との書面が送付された後も,供託を続けていました。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/85/85-108.pdf
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(東京地方裁判所 平成23年3月17日判決)
契約書には,賃料の支払い方法が,
銀行振り込みと指定されていたにもかかわらず,
小切手入金による支払いが信用金庫に拒絶されたことから,
受領拒絶を理由に供託したところ,
当該供託は無効と判断され,
信頼関係の破壊(賃料不払いを含む)を原因として,
賃貸借契約の解除が認められた事例。
なお,賃貸人の弁護士から当該供託は無効との書面が送付された後も,供託を続けていました。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/85/85-108.pdf
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2012年5月1日火曜日
不動産取引価格の参考HP
不動産取引価格の参考HP
①土地総合情報ライブラリー HP(国土交通省が運営・管理)
http://tochi.mlit.go.jp/
②REINS Market Information HP
(全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理)http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do
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①土地総合情報ライブラリー HP(国土交通省が運営・管理)
http://tochi.mlit.go.jp/
②REINS Market Information HP
(全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理)http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do
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2012年3月24日土曜日
マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)
マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)
国住マ第43号
平成24年2月3日
国土交通省住宅局
住宅局長 川本 正一郎
照会の内容は,
国税庁HP http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm#a01
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上記照会に対する回答
回答年月日 平成24年2月13日
回答者 国税庁課税部長
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1) この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2) この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。
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国住マ第43号
平成24年2月3日
国土交通省住宅局
住宅局長 川本 正一郎
照会の内容は,
国税庁HP http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm#a01
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上記照会に対する回答
回答年月日 平成24年2月13日
回答者 国税庁課税部長
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1) この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2) この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。
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2012年2月10日金曜日
民法258条2項所定の競売に関する判例
事件番号 平成23(許)31
事件名 担保不動産競売手続取消決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
裁判年月日 平成24年02月07日 最高裁判所第三小法廷 決定
裁判要旨
民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売については,民事執行法59条及び63条が準用される
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81984&hanreiKbn=02
ーーーーーー
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事件名 担保不動産競売手続取消決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
裁判年月日 平成24年02月07日 最高裁判所第三小法廷 決定
裁判要旨
民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売については,民事執行法59条及び63条が準用される
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81984&hanreiKbn=02
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2012年2月8日水曜日
ペット(動物)飼育禁止特約に関する判例(不動産適正取引推進機構)
動物禁止特約に反する借主のフェネックギツネの飼育が信頼関係の破壊に当たるとして、賃貸借契約の解除が認められた事例
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-126.pdf
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不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-126.pdf
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保証人の賃貸物件の明渡しに関する判例(不動産適正取引推進機構)
保証人が賃借人の制止を無視して家財道具等を搬出・処分等した行為は不法行為を構成するとされた事例
認容された損害賠償金額は約103万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-122.pdf
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認容された損害賠償金額は約103万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-122.pdf
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賃貸物件の自殺に関する判例(不動産適正取引推進機構)
賃借人の浴槽内での自殺につき、相続人に、ユニットバス交換費用、賃料減額分の賠償責任が認められた事例
原告(=賃貸人)は,480万円の損害が発生したと主張し,
480万円の一部請求として250万円の損害賠償を請求したところ,
裁判所が認容した損害賠償金額は約142万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-116.pdf
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原告(=賃貸人)は,480万円の損害が発生したと主張し,
480万円の一部請求として250万円の損害賠償を請求したところ,
裁判所が認容した損害賠償金額は約142万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-116.pdf
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賃貸物件の自殺に関する判例(不動産適正取引推進機構)
賃借人の長女の自殺につき、賃借人に賃料等の差額分、内装工事費、供養費の賠償責任が認められた事例
被告は賃借人,居住者は賃借人の長女で,学生向け賃貸マンションにおいて賃借人の長女が自殺した事案。
賃借人の長女は履行補助者に当たるとして,賃借人に対し損害賠償責任を認めました。
認容された損害賠償金額は約155万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-114.pdf
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私道の車両通行・掘削に関する判例(不動産適正取引推進機構)
建築基準法42条2項の私道を隣接地所有者らが車両の通行等で利用する行為は共同不法行為に当たるとして、私道所有者の請求が一部認容された事例
原告が現在所有しているのは,私道の持分3分の1のみであること,
原告が本件私道の所有者になってからの期間が短いことなどから,
認容された損害賠償金額は10万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-132.pdf
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原告が現在所有しているのは,私道の持分3分の1のみであること,
原告が本件私道の所有者になってからの期間が短いことなどから,
認容された損害賠償金額は10万円です。
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/84/84-132.pdf
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2012年1月24日火曜日
家賃保証会社の従業員による取立行為が不法行為に当たるとされた事例
家賃保証会社の従業員による取立行為が不法行為に当たるとされた事例
本件は、賃借人が、家賃保証会社の従業員らによる更新保証委託手数料および立替家賃の取立行為は不法行為に当たると主張し、保証会社とその従業員らに対して損害賠償を求めた事例である。
裁判所は、従業員らの取立行為について、心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものであったと評価したうえで、不法行為が成立するとし、賃借人の請求を一部認めた。(福岡地裁平成21年12月3日判決)
『消費者法ニュース』83号65ページ
理由
(1)一般論
債権の取立行為であっても、その態様が社会通念上是認される限度を超え、相手方の心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものである場合には、不法行為が成立する。
(2)本件について
(a)事実認定
本件では、午後9時に訪問時間を指定したうえで、同時刻から翌日午前3時までの深夜長時間にわたって取立行為が継続され、その中で「この程度の荷物なら1回で搬出できる」旨の発言や、支払いがされなかった場合にはBの孫の小学校に行く旨の発言などの脅迫的言辞、荷物搬出の委任状および退去届の作成の要求、知人への金策や母親への土下座による金の無心の要求、Xの承諾なく携帯電話を閲覧したり、部屋に侵入して財布の中を見るなどの無承諾行為、車内に監禁状態に置いたうえでの強い口調による執拗(しつよう)な支払い要求、Bへの連帯保証の要求などがなされたものである。
そして、深夜約6時間もの長時間にわたってこれらの行為が継続されていることや、警察を呼ぶといった話が出たこと、これに加え、Y4自身もカラオケ店の駐車場において「このままでは帰すことはできない」旨言ったと認めていることなどからすれば、一連の取立行為は、XやAにおいてそれを拒否すれば解放されないとの心理的強制のもとに行われていたものと推認できる。
(b)結論
これらの事実を総合すれば、Y2~Y4ら3名の本件取立行為は、身体に対する直接的な脅迫や暴行が行われたものではないものの、その態様が社会通念上是認される限度を超え、Xやその同居人等の心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものであったと評価できる。
(3)責任の法的構成
Y2~Y4は「不法行為責任」に、Y1は使用者責任に基づき、後記損害額をそれぞれ連帯して賠償する責任を負う。
Y1の「直接の不法行為責任」については、Y1が本件取立行為のような違法な取立行為を一般的な業務として行っていたとまでは認められず、Y1が直接の不法行為責任を負うとは評価できない。
(4)損害額
本件取立行為は、身体に対する直接的な脅迫や暴行がなされたものではないものの、深夜長時間にわたって執拗な要求行為が継続された悪質なものであり、これに加えて、Xがその後も家賃を滞納したことなど諸般の事情を考慮すると、慰謝料20万円、弁護士費用2万円と算定するのが相当である。
国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201201_1.html
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本件は、賃借人が、家賃保証会社の従業員らによる更新保証委託手数料および立替家賃の取立行為は不法行為に当たると主張し、保証会社とその従業員らに対して損害賠償を求めた事例である。
裁判所は、従業員らの取立行為について、心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものであったと評価したうえで、不法行為が成立するとし、賃借人の請求を一部認めた。(福岡地裁平成21年12月3日判決)
『消費者法ニュース』83号65ページ
理由
(1)一般論
債権の取立行為であっても、その態様が社会通念上是認される限度を超え、相手方の心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものである場合には、不法行為が成立する。
(2)本件について
(a)事実認定
本件では、午後9時に訪問時間を指定したうえで、同時刻から翌日午前3時までの深夜長時間にわたって取立行為が継続され、その中で「この程度の荷物なら1回で搬出できる」旨の発言や、支払いがされなかった場合にはBの孫の小学校に行く旨の発言などの脅迫的言辞、荷物搬出の委任状および退去届の作成の要求、知人への金策や母親への土下座による金の無心の要求、Xの承諾なく携帯電話を閲覧したり、部屋に侵入して財布の中を見るなどの無承諾行為、車内に監禁状態に置いたうえでの強い口調による執拗(しつよう)な支払い要求、Bへの連帯保証の要求などがなされたものである。
そして、深夜約6時間もの長時間にわたってこれらの行為が継続されていることや、警察を呼ぶといった話が出たこと、これに加え、Y4自身もカラオケ店の駐車場において「このままでは帰すことはできない」旨言ったと認めていることなどからすれば、一連の取立行為は、XやAにおいてそれを拒否すれば解放されないとの心理的強制のもとに行われていたものと推認できる。
(b)結論
これらの事実を総合すれば、Y2~Y4ら3名の本件取立行為は、身体に対する直接的な脅迫や暴行が行われたものではないものの、その態様が社会通念上是認される限度を超え、Xやその同居人等の心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものであったと評価できる。
(3)責任の法的構成
Y2~Y4は「不法行為責任」に、Y1は使用者責任に基づき、後記損害額をそれぞれ連帯して賠償する責任を負う。
Y1の「直接の不法行為責任」については、Y1が本件取立行為のような違法な取立行為を一般的な業務として行っていたとまでは認められず、Y1が直接の不法行為責任を負うとは評価できない。
(4)損害額
本件取立行為は、身体に対する直接的な脅迫や暴行がなされたものではないものの、深夜長時間にわたって執拗な要求行為が継続された悪質なものであり、これに加えて、Xがその後も家賃を滞納したことなど諸般の事情を考慮すると、慰謝料20万円、弁護士費用2万円と算定するのが相当である。
国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201201_1.html
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2012年1月17日火曜日
区分所有者の共同の利益に関する判例
事件番号 平成22(受)2187
事件名 名誉毀損文書頒布行為等停止請求事件
裁判年月日 平成24年01月17日 最高裁判所第三小法廷 判決
裁判要旨
マンションの区分所有者による管理組合の役員を中傷する文書の配布等の行為は,それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,建物の区分所有等に関する法律6条1項の「共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81896&hanreiKbn=02
(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
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事件名 名誉毀損文書頒布行為等停止請求事件
裁判年月日 平成24年01月17日 最高裁判所第三小法廷 判決
裁判要旨
マンションの区分所有者による管理組合の役員を中傷する文書の配布等の行為は,それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,建物の区分所有等に関する法律6条1項の「共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81896&hanreiKbn=02
(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
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2012年1月8日日曜日
明渡猶予の建物使用の対価に関する判決
東京高等裁判所 平成22年9月3日決定 抗告棄却(確定) 金融法務事情1937号139頁
(不動産引渡命令申立却下決定に対する執行抗告事件)
明渡猶予の認められる物件における建物使用の対価を算定する際は,占有者の従前からの使用収益の継続を前提とした継続賃料の額をも考慮するのが相当とされた事例。
(事案の概略)
相手方は抗告人に対し,建物使用の対価として従前の賃料および管理費の合計額と同額の12万5000円を提供したが,抗告人が受領を拒否したので供託した。
抗告人は相手方に対し,建物使用の対価として16万3000円を請求したが,相手方が差額を支払わないので,本件引渡命令を申し立てた。
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(不動産引渡命令申立却下決定に対する執行抗告事件)
明渡猶予の認められる物件における建物使用の対価を算定する際は,占有者の従前からの使用収益の継続を前提とした継続賃料の額をも考慮するのが相当とされた事例。
(事案の概略)
相手方は抗告人に対し,建物使用の対価として従前の賃料および管理費の合計額と同額の12万5000円を提供したが,抗告人が受領を拒否したので供託した。
抗告人は相手方に対し,建物使用の対価として16万3000円を請求したが,相手方が差額を支払わないので,本件引渡命令を申し立てた。
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