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2012年1月24日火曜日

家賃保証会社の従業員による取立行為が不法行為に当たるとされた事例

家賃保証会社の従業員による取立行為が不法行為に当たるとされた事例

 本件は、賃借人が、家賃保証会社の従業員らによる更新保証委託手数料および立替家賃の取立行為は不法行為に当たると主張し、保証会社とその従業員らに対して損害賠償を求めた事例である。


 裁判所は、従業員らの取立行為について、心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものであったと評価したうえで、不法行為が成立するとし、賃借人の請求を一部認めた。(福岡地裁平成21年12月3日判決)

『消費者法ニュース』83号65ページ

理由



(1)一般論


 債権の取立行為であっても、その態様が社会通念上是認される限度を超え、相手方の心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものである場合には、不法行為が成立する。






(2)本件について


(a)事実認定


 本件では、午後9時に訪問時間を指定したうえで、同時刻から翌日午前3時までの深夜長時間にわたって取立行為が継続され、その中で「この程度の荷物なら1回で搬出できる」旨の発言や、支払いがされなかった場合にはBの孫の小学校に行く旨の発言などの脅迫的言辞、荷物搬出の委任状および退去届の作成の要求、知人への金策や母親への土下座による金の無心の要求、Xの承諾なく携帯電話を閲覧したり、部屋に侵入して財布の中を見るなどの無承諾行為、車内に監禁状態に置いたうえでの強い口調による執拗(しつよう)な支払い要求、Bへの連帯保証の要求などがなされたものである。


 そして、深夜約6時間もの長時間にわたってこれらの行為が継続されていることや、警察を呼ぶといった話が出たこと、これに加え、Y4自身もカラオケ店の駐車場において「このままでは帰すことはできない」旨言ったと認めていることなどからすれば、一連の取立行為は、XやAにおいてそれを拒否すれば解放されないとの心理的強制のもとに行われていたものと推認できる。


(b)結論


 これらの事実を総合すれば、Y2~Y4ら3名の本件取立行為は、身体に対する直接的な脅迫や暴行が行われたものではないものの、その態様が社会通念上是認される限度を超え、Xやその同居人等の心身の安全や生活の平穏を脅かすようなものであったと評価できる。


(3)責任の法的構成


 Y2~Y4は「不法行為責任」に、Y1は使用者責任に基づき、後記損害額をそれぞれ連帯して賠償する責任を負う。
 Y1の「直接の不法行為責任」については、Y1が本件取立行為のような違法な取立行為を一般的な業務として行っていたとまでは認められず、Y1が直接の不法行為責任を負うとは評価できない。


(4)損害額


 本件取立行為は、身体に対する直接的な脅迫や暴行がなされたものではないものの、深夜長時間にわたって執拗な要求行為が継続された悪質なものであり、これに加えて、Xがその後も家賃を滞納したことなど諸般の事情を考慮すると、慰謝料20万円、弁護士費用2万円と算定するのが相当である。


国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201201_1.html
 
 
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2012年1月17日火曜日

区分所有者の共同の利益に関する判例

事件番号 平成22(受)2187

事件名 名誉毀損文書頒布行為等停止請求事件

裁判年月日 平成24年01月17日  最高裁判所第三小法廷  判決

  裁判要旨 

マンションの区分所有者による管理組合の役員を中傷する文書の配布等の行為は,それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,建物の区分所有等に関する法律6条1項の「共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある

最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81896&hanreiKbn=02


(区分所有者の権利義務等)
第六条  区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。


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2012年1月8日日曜日

明渡猶予の建物使用の対価に関する判決

東京高等裁判所 平成22年9月3日決定 抗告棄却(確定) 金融法務事情1937号139頁

(不動産引渡命令申立却下決定に対する執行抗告事件)

明渡猶予の認められる物件における建物使用の対価を算定する際は,占有者の従前からの使用収益の継続を前提とした継続賃料の額をも考慮するのが相当とされた事例。


(事案の概略)
相手方は抗告人に対し,建物使用の対価として従前の賃料および管理費の合計額と同額の12万5000円を提供したが,抗告人が受領を拒否したので供託した。

抗告人は相手方に対し,建物使用の対価として16万3000円を請求したが,相手方が差額を支払わないので,本件引渡命令を申し立てた。


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