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賃貸マンション・アパートの退去費用・原状回復(札幌)

◇ 退去費用・原状回復(現状回復)費用・敷金返還のご相談・ご依頼を承っております。 法テラスの相談援助が利用できる場合は,3回までの相談料は無料になります。借主の場合,資産要件を満たすことが多いため,相談援助を利用ができる場合が多いと思います。 家主の高額な請求金額をその...

2015年11月30日月曜日

訴訟上の和解に関する判例

上告人が,被上告人との訴訟上の和解について,その無効を主張して既に終了した訴訟手続の続行を求めて期日指定の申立てをした事案です。


上告人(被告)は和解したくなかったところ,1審裁判官の和解成立の手法に問題があったため,上告人は和解の無効を主張したようです。


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 平成26(受)2146      建物明渡請求事件      

 平成27年11月30日  最高裁判所第一小法廷   判決     

 破棄自判     


判示事項       

裁判要旨
 1 訴訟上の和解が成立したことによって訴訟が終了したことを宣言する第1審判決に対し被告のみが控訴した場合と不利益変更禁止の原則
2 訴訟上の和解が成立したことによって訴訟が終了したことを宣言する第1審判決に対し被告のみが控訴した場合において,控訴審が当該和解が無効であり,かつ,請求の一部に理由があるとして自判をしようとするときの判決主文

参照法条

全文
全文( 最高裁HP)

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2015年10月8日木曜日

平成27年度 札幌市危険空家 補助制度



この制度は,札幌市が補助金を出してくれるので,所有者は返還する必要がありません(立て替え金ではない)。


この制度は,札幌市が危険な空き家と認定したことが要件ですので,通常の空き家の取り壊しには適用されません。


この制度は,原則として所有者全員の同意が要件とされていますので,遺産分割協議がまとまらないような場合は,難しいようです。


この制度は,所有者からの申請が要件ですから,相続人全員が相続放棄をしている場合は,利害関係人が,家庭裁判所に相続財産管理人の選任申し立てをする必要があるでしょう。


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平成27年度札幌市危険空家等除却補助制度のご案内


詳細は,札幌市HP
https://www.city.sapporo.jp/toshi/k-shido/akiya/akiyahojyo.html

補助制度の概要

市民のみなさまの安全で安心な住居環境を確保するため、倒壊や建築部材等の飛散のおそれがある危険な空き家などの除却(解体)工事にかかる費用の一部を補助します。
※仮申請の受付期間内に、申請件数が予算額で見込んでいる件数に達しなかったため、抽選は行いません。
また、予算額に若干の余裕がありますので、先着順で追加の仮申請を受け付けます。(地域連携型、通常型のどちらも可)
なお、予算額で見込んでいる件数(4件程度)に達した段階で申請を締め切りますので
必ず仮申請を行う前に、ページの最後にある連絡先までお問い合わせください。
(2015年9月30日更新)


補助率と補助額地域連携型補助

補助率と補助額
補助の種類1.地域連携型2.通常型
事業費に対する
補助率
9/101/3
限度額150万円50万円
条件1.除却後の土地を、5年間、地域の自治組織(町内会など)に無償で貸与すること。
2.地域の自治組織が除却後の土地の維持管理をしながら活用することについて同意すること。
1.工事完了報告日より1年間、営利目的の活用及び有償による譲渡又は貸与などを行言わないこと。
※事業費(税抜金額)には残置物の処分、建物の解体・処分費、最低限の整地費、工事に必要な仮設物工事費などが含まれます。詳細は空き家対策担当係にお問い合わせください。

補助対象となる空家等

  1. 札幌市内(原則として、市街化区域内)にあり、概ね年間を通じて使用されていないもの
  2. 札幌市が建物としての危険性があると認めるもの(築年数は関係ありません)
  3. 建物及びその所在地の所有関係が明確であり、どちらにも所有権以外の権利が設定されていないもの
※上記の全てを満たすこと



補助対象者(申請者)

  1. 危険性があると認められる空家等の建物所有者
  2. 危険性があると認められる空家等の所在地の土地所有者
  3. 上記1又は2の方から対象空家等の除却(解体)について同意を得た者
※この補助制度は個人を対象としており、法人は申請できません。


申請要件

  1. 申請者以外に建物及び土地の所有者がいる場合は、その全員の同意を得ていること。 (原則、全員の同意が必要ですが、どうしても連絡先等が不明の場合は、ご相談ください。)
  2. 申請者及び申請者と同じ世帯の者の中にこの補助金を受けた者がいないこと。また、申請者以外に建物及び土地の所有者がいる場合は、その中にこの補助金を受けた者がいないこと。
  3. 申請者が市町村民税・都道府県民税及び固定資産税・都市計画税を滞納していないこと。
  4. 申請者が暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者でないこと。
※上記の全てを満たすこと。


補助対象となる工事の要件

  1. 危険性があると認められる空家等の全部を除却(解体)し、所在地を更地とする工事であること。
  2. 建設業法に基づく業種(土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業のいずれか)の許可、又は建設リサイクル法に基づく道知事による登録を受けた事業者に請け負わせて実施する工事であること。
  3. 他の制度等により補助金の交付を受けていない工事であること。
  4. 平成28年2月29日(月曜日)までに完了報告ができる工事であること。
※上記の全てを満たすこと


ご注意ください

  • すでに完了した工事、着手した工事、交付決定を受ける前に行った契約による工事は、補助の対象となりませんので、ご注意ください。
  • 住宅の解体後は、住宅用地の特例措置が適用されなくなり、土地の固定資産税などの税金が上がることがあります。
  • 申請者以外に土地及び建物の所有者がいる場合はその全員分の同意が必要です。
  • 工事完了報告日より1年間は、跡地の営利目的の活用及び有償による譲渡などは出来ません(通常型の場合)
  • 申請者、見積書及び領収書の宛名、補助金振込先の口座名義人は全て同じであることが必要です。
  • 各申請書等に押印する印鑑は、全て同じものをご使用ください(シャチハタ不可)
  • 申請、報告及び請求は、締切期限を厳守してください。期限を過ぎた場合は、補助金が交付されないことがあります。
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2015年8月5日水曜日

賃貸人の修繕に関する裁判例




本件は,借主側の立ち退き交渉のテクニックの一環として,賃貸人に対し,建物の不具合箇所の修繕請求をしたにすぎないように見受けられます。


控訴審で,立ち退き料の支払いと引き替えに明け渡す旨の和解が成立しています。


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賃貸人に対する建物の不具合箇所の修繕請求が棄却 された事例 (東京地判 平成26・4・22 ウエストロー・ジャパン) 畑山 雄二


不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/97/97-106.pdf


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据付洗濯機の漏水事故に関する裁判例




借主たる原告は本件漏水事故に関して,保険会社より606万円余(うち物損分461万円 余)の保険金を受領しました。


そのうえで,借主は賃貸人に対して,合計1151万円余(う ち,家財の損失額831万円余)を請求する本件訴訟を提起しました。


裁判所は,不法行為責任,債務不履行責任,民法717条の土地工作物責任および慰謝料の請求について,いずれも理由がないとして,借主の請求を全部棄却しました。


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据付洗濯機の漏水事故による賃借人の損害につき、 賃貸人に対する損害賠償責任が否定された事例 (東京地判 平26・3・18 ウエストロー・ジャパン) 井上 雅夫


不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/97/97-108.pdf


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居住用賃貸物件の借主の失火の損害賠償に関する裁判例




居住用賃貸マンションの借主の部屋から出火し,部屋が全焼した事案です。


賃料は月6万8000円,築後30年を経過した面積14.56㎡のワ ンルームマンションです。


出火原因は正確には不明ですが,火災保険会社の鑑定書から借主に原因ありと認定されました。


賃貸人は借主に対して,1760万円の損害賠償請求をしましたが,損害の内訳について客観的な事情が認められないとして,火災保険会社の鑑定書を基準として,286万円のみが認められました。


*借主は,借家人損害賠償責任保険に加入しておくべきでしょう。


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ワンルームマンション内で発生した火災による借主 の損害賠償責任が認定された事例 (東京地判 平26・6・16 ウエストロー・ジャパン) 新井 勇次


不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/97/97-110.pdf


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宅建業者の従業員の退去交渉が弁護士法に違反しないとされた裁判例




原告が成年被後見人であることから,成年後見人が後見業務の一環として,本件訴訟を提起したような感じがします。


本件事案は,原告と被告の宅建業者(売買の仲介予定?)とは,そもそも初見の関係だったため,継続的な関係が否定され,弁護士法に違反しないと判断されたように思います。


私見としては,たとえば,家主から継続的にアパート1棟を丸ごと任されている賃貸管理業者の場合は,業務性が認められやすく,


たとえ,立ち退き交渉が無報酬でも,賃貸管理契約に基づき管理料を受領しているので,


報酬を得る目的も満たしていると判断されやすいと思います。


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宅地建物取引業者の従業員の報酬を得ず行った退去 交渉に弁護士法違反はないとされた事例 (東京地判 平26・6・13 ウエストロー・ジャパン) 中戸 康文


不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/97/97-114.pdf


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階下の住人の歌声が不法行為になるとした裁判例

裁判所は,本件事案では,


伝播するY1の歌声の騒音レベルが最大41 デシベル程度であること,


深夜(午後11時から翌日午前6時まで)の歌声に限って不法行為にあたるとしたこと,


結論として,年に数 回程度の歌声が不法行為にあたるとしました。


受忍限度を超えた騒音の慰謝料額として10万円,弁護士費用2万円の計12万円を認めました。


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(東京地判 平26・3・25 ウエストロー・ジャパン) 松木 美鳥


階下の住人の深夜の歌声は、上階の住人へ受忍限度 を超える騒音を伝播させたものであるとして、損害 賠償責任が認められた事例


不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/97/97-118.pdf


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2015年6月19日金曜日

原状回復費用を支払ったが修理していない場合



(1)賃借人(借主)が原状回復費用を支払ったにもかかわらず,


賃貸人(貸主)が修理(リフォーム)をしないで,次の賃借人に賃貸する場合があります。


いっけん,賃貸人が修理費用に充てずに,原状回復費用を自分のふところにいれたのだから,賃借人は原状回復回復費用を返せと主張できるようにも思えます。


しかし,そのような主張はできません。


(2)ところで,賃借人の原状回復費用の負担範囲についてですが,


賃借人が原状回復費用を負担する範囲は,賃借人が故意(わざと)または過失(不注意)による行為によって,賃貸物件を傷つけた部分に限ります。

したがって,賃借人は原状回復費用として,通常損耗部分や自然損耗部分については負担する必要がありません。



(3)原状回復費用というのは,退去時において,本来ならば,賃借人の故意または過失による行為がなければ,賃貸物件に傷がつかなかったはずである部分に対する損害賠償ということになります。


つまり,原状回復費用の支払いの有無を問わず,損害は賃貸物件に傷がついた時点で,すでに発生していることになります。


(4)賃借人が賃貸人に対して,原状回復費用を支払ったにもかかわらず,賃貸人が修理しなかったとしても,賃借人の故意または過失による行為によって,すでに損害が生じているといえますので,賃貸人の不当利得にはなりません。


よって,賃借人は賃貸人に対して,修理をしていないのだから原状回復費用を返せとはいえません。


(5)原状回復費用の要件事実について,


①「岡口基一 要件事実マニュアル (ぎょうせい)」を参照したところ,


第2版下巻には,「賃貸人が当該損耗・汚損した部分の修繕・交換ための費用を支出したこと」


と記載されており,支出したこと,つまり実際に賃貸人が修理したことを前提としていたようですが,


最新版となる第4版第2巻では,「当該損耗・汚損した部分の修繕・交換に要する(又は賃貸人が支払った)費用の額


に変更されており,実際に賃貸人が修理する必要はなく,原状回復費用の損害額を立証できれば足りる記載になっていました。


②「廣谷章雄 編 借地借家訴訟の実務(新日本法規)」を参照したところ,


「原状回復費用の損害額」


と記載されており,実際に賃貸人が修理する必要はなく,原状回復費用の見積もりの金額でもよいことを前提としています。


(6)注意すべきは,賃借人が故意または過失によって,賃貸物件を傷つけた部分があったとしても,賃貸借契約の長期継続により,通常損耗部分や自然損耗部分との相関関係で,故意または過失による傷があろうがなかろうが,製造から長期間の経過により,傷ついた部分の経済的価値が0円ということになれば,原状回復費用を支払う必要がなくなる場合があるということです。




(7)なお,民法422条の損害賠償による代位は,目的である物又は権利の価額の全部の支払いがあった場合の規定ですから,賃借人の支払った原状回復費用が目的である物の価額の一部にすぎない場合は,目的である物の所有権は賃借人に移転しませんし,価額の全部を支払った場合でも民法242条の不動産の付合の規定により,所有権は賃借人に移転しないことが多いでしょう。


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2015年4月16日木曜日

札幌市 消防法違反物件の公表および命令の公示



札幌市では平成27年4月1日から消防法に違反する物件を公表しています。


なお,消防法違反の命令の公示は,公表と比較して,詳細な記載となります。


札幌市HP
http://www.city.sapporo.jp/shobo/yobo/oshirase/kohyo/koji.html


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2015年4月14日火曜日

北海道 札幌 空き家の賃貸



(1)最近は,戸建て・分譲マンションを問わず,居住者の転勤,死亡,病院への入院や施設への入所などにより,空き家が増加しています。


空き家の管理が重要課題となりますが,固定資産税は課税され続けますので,賃貸に出すことを検討されることが多いようです。


インターネットの普及により,一般人であっても,容易に借り主を見つけることができるようになったため,貸し主は費用を節約するために,不動産仲介業者を依頼せず,直接,借り主と賃貸借契約をすることが増えています。


(2)しかし,それに伴い,素人が貸し主となった場合のトラブルが増えています。


まず,賃貸借契約の内容に起因するトラブルがあります。不動産仲介業者を抜いた賃貸借契約の場合は,賃貸借契約書の記載不備により致命傷を負うことがあります。


つぎに,借り主の本人確認の問題があります。


ひどい例は,賃貸借契約の締結時に,借り主の印鑑証明書はおろか住民票さえ取得しておらず,市役所に確認したところ賃貸物件へ住所移転がされておらず,該当者不明という場合がありました。当然ながら,連帯保証人からも印鑑証明書は取得していませんでした。借り主の真実の氏名,生年月日と(前)住所の確認ができず,偽名が疑われました。


滞納賃料の請求訴訟をしようにも,偽名?の借り主から金銭を回収することはできませんので,泣き寝入りになります。


下手すると,現在流行している,おれおれ詐欺・振り込め詐欺などの犯罪活動場所として,利用される場合もあります。そのよう場合は,貸し主も警察の捜査に協力しなければなりません。


隠れた?,賃貸トラブルが生じやすい原因として,借り主が親戚や知人という場合があります。親戚・知人なので,賃貸借契約の内容が曖昧となることが多く,ひとたびトラブルが生じた場合は対処が困難になってしまいがちです。




(3)素人の場合は,賃貸収入により(高い)利益を得ようとする考えは捨てた方がよいでしょう。


借り主の身元がしっかりしている場合は,家賃を割り引いて,借り手がつきやすいようにする方法もあります。


短期間の賃貸借を予定している場合は,定期借家契約にすべきでしょう。定期借家契約は,賃貸借期間が満了すると,更新されることなく賃貸借契約が終了します。


ところで,借り主が賃貸借契約の解除後も不法占有を続ける場合は,建物明け渡しの強制執行をする必要があります。建物明け渡しの強制執行をする場合には,50万円から100万円ぐらい必要になります。借り主から回収できればよいですが,回収できないことがほどんどですので,貸し主は家賃を踏み倒された上,50万円から100万円の自腹を切ることになり,まさに踏んだり蹴ったりとはこのことです。


①必要な費用は支払って,トラブルが生じないように予防すること


→賃貸借契約書の作成を専門家に依頼する。


②素性が分からない借り主には貸さないこと


→身分証明書と印鑑証明書で本人確認をする。
 源泉徴収票を確認する(現在の勤務先と給料金額の確認)。
 できれば,前々年の所得証明書を確認する(無職期間の調査)。


②トラブルが生じても適切な対応を取ることができるようにしておくこと


→貸し主も借り主も損害保険に加入する。
 連帯保証人を2名は用意する(1名は親族)。場合によっては保証会社を利用する。
   敷金を預かる。


③借り主と意思の疎通を図るようにすること


→4ヵ月に一度くらいは,賃貸物件を訪ねて借り主と会う。できれば,玄関には入る。


④証拠を確保すること


→物件の入居時と退去時には写真を撮っておく。
 トラブルが生じた場合は,録音,写真,証人などにより証拠を確保する。


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 当事務所(司法書士・行政書士・社会保険労務士)では,
賃貸借契約書の作成,賃貸借契約の締結時の立ち会いをしております。
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一般社団法人 日本損害保険協会HP より抜粋
http://soudanguide.sonpo.or.jp/home/q053.html


賃貸住宅の場合、建物自体は家主の所有となるため、家主が建物と家財に対し火災保険を契約していることが考えられますが、その保険で補償される家財は家主自身の所有物であり、入居者が所有する家財は補償されません。
入居者が家財の損害に備えるには、自らが家財に対する火災保険を契約する必要があります。そして、上記のとおり、失火によって戸室を焼失させた場合の家主に対する損害賠償責任に備えるため、家財の火災保険に特約として「借家人賠償責任補償特約」(借家人の責に帰すべき火災、破裂・爆発等で借用戸室を損害し、家主に対して損害賠償責任を負ったときの損害を補償する火災保険の特約)を付帯(セット)するなどして、これに備える必要があります。
「借家人賠償責任保険(補償特約)」は、借りた戸室に対する損害賠償責任を補償してくれるので、「ボヤ火災」などの戸室内に生じる損害に備えるうえでは便利な保険です。しかし、例えばガス爆発などの事故を起こしてしまった場合には、借りた戸室のみならず、近隣の建物にも被害が生じるおそれがあります。近隣の建物は自己が借りた戸室ではないため、「借家人賠償責任保険(補償特約)」では補償されません。


このような事態に備えるには、別途、「個人賠償責任保険(補償特約)」(「問93」参照)を契約する必要があります。「個人賠償責任保険(補償特約)」では、ガス爆発などによる近隣の建物の損壊や住民の身体の障害(ケガや死亡など)といった損害のほか、水漏れなどによって階下の住民の家財に損害を与えた場合など、日常生活で発生する様々な賠償事故による損害を補償してくれます。ただし、借りた戸室に対する損害賠償責任は補償されません。 
このため、賃貸住宅に住む場合には、「借家人賠償責任保険(補償特約)」と「個人賠償責任保険(補償特約)」の2つの契約があった方が安心です(自己所有の住宅でも、ガス爆発などの事故に備えるには「個人賠償責任保険(補償特約)」の加入が必要です。)。

2015年3月27日金曜日

市営住宅の暴力団排除条項は合憲(最高裁判例)

市営住宅ですので,憲法問題になりましたが,


民営住宅の場合であれば,民法の公序良俗違反にもなりませんし,消費者契約法違反にもなりませんので,賃貸借契約で暴力団排除条項(明け渡し条項)を締結していれば,有効ということになるでしょう。


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事件番号
 平成25(オ)1655
事件名
 建物明渡等請求事件
裁判年月日 平成27年3月27日      
法廷名 最高裁判所第二小法廷 
裁判種別
 判決
結果
 棄却
    
 判示事項
裁判要旨
 西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号)46条1項柱書及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分は,憲法14条1項及び22条1項に違反しない
参照法条
全文
全文 (最高裁判所HP)

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2015年3月20日金曜日

賃貸マンション・アパートの退去費用・原状回復(札幌)

退去費用・原状回復(現状回復)費用・敷金返還のご相談・ご依頼を承っております。

法テラスの相談援助が利用できる場合は,3回までの相談料は無料になります。借主の場合,資産要件を満たすことが多いため,相談援助を利用ができる場合が多いと思います。



家主の高額な請求金額をそのまま支払う必要はありません。


*司法書士会,弁護士会,法テラス,市役所・区役所の相談では,毎回担当の相談者が異なります。


継続的に同じ担当者に相談したい場合は,当事務所に相談ください。




*退去費用・原状回復費用の請求に対する,借主の反論書(内容証明郵便)の作成をいたします。

*借主が被告になった場合(家主から訴えられた場合)には,答弁書を作成いたします。



反論書(内容証明郵便)及び答弁書に自己に不利なことを記載すると,それが証拠となり,自分のクビをしめることになるので,専門家に依頼すべきでしょう。

当事務所(札幌市中央区南6条西23丁目4番18号)

石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所のHP


 http://ishihara-shihou-gyosei.com


電話番号:011-532-5970 


土曜日や日曜日も予約で対応可能です。




*交渉代理(示談交渉)をすることや,裁判書類を作成することができるのは,司法書士(140万円以内)か弁護士だけです。

行政書士や○○士が,交渉代理や裁判書類を作成をすることは,弁護士法に違反します。



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(1)家主(賃貸人)は,国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を無視して,借主(賃借人)に高額な原状回復(現状回復)費用を請求してくることがあります。

ガイドラインは,法律ではないので法的拘束力はありません。

(2)しかし,再改訂版(平成23年8月)は,賃貸借契約の原状回復に関する最高裁判所の判例も解説に加えており,おおむね裁判実務をふまえた内容となっています。

したがって,賃貸借契約に原状回復義務の特約がない場合は,ガイドラインの考え方をそのまま適用して判断すべきでしょう。

(3)一方,原状回復義務の特約がある場合は,その特約の有効性をめぐって争いになるでしょう。

ガイドラインも特約が有効となる場合を解説に記載しており,特約が有効であることを前提としています。

原状回復義務の特約が有効であれば,借主(賃借人)は自然損耗分(経年変化分)及び通常損耗分を負担することになり,多額の原状回復費用を負担することになるでしょう。

(4)そもそも,賃貸借契約書に原状回復の特約の記載があっても,無効となる場合があります。

原状回復の工事の単価金額が適正かどうかといった問題もありますので,借主は家主と退去費用・原状回復費用で争いになった場合は,専門家に相談すべきでしょう。





(5)家主からの退去費用(原状回復費用)に納得できない場合は,毅然とした態度で,拒絶する必要がありますが,

一般人である借り主が,電話などで問い合わせをしても,水掛け論となり,解決しないことが多いようです。



そこで,当事務所が,退去費用(原状回復費用)の請求に対する支払い拒否の書面(支払い拒絶書)を作成いたします。

司法書士の肩書きを付けて,配達証明付きの内容証明郵便で書類を作成いたします。

内容証明郵便を利用することにより,支払い拒絶の明確な意思表示を通知します。



いったん退去費用・原状回復費用の精算書(合意書)に署名してしまうと,後になってから,退去費用・原状回復費用を争うことは難しくなるため,最初から専門家に依頼すべきでしょう。



2015年3月6日金曜日

改正民法に対応の建物賃貸借契約書の作成



民法の改正(予定)により,敷金返還や原状回復義務について,新たに条文が定められることになりました。


現在の賃貸借契約に関する条文も,改正により改廃される条文があります。




民法が改正される前であっても,民法改正に対応する賃貸借契約書を作成することは可能です。




この際,古い賃貸借契約書の内容を改めてみてはどうでしょうか?




最近締結された賃貸借契約であっても,現在の法律や実務に対応していない契約書をよく見ます。


家主に不利な契約内容を削除したり,有利な契約内容を設けたりすることで,紛争解決に役立ちます。




当事務所では,改正民法に対応する建物賃貸借契約書の作成を承っております。


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民法改正で変わる生活、「敷金」返還スムーズに



TBS系(JNN) 3月6日(金)0時23分配信


http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2437747.html


なんで,敷金返還について国家資格者に取材しないのか。


TBS系(JNN)の法的知識の欠如が露見しています。


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2015年2月26日木曜日

空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針



居住用建物の空き家の管理業務がビジネスとなることは間違いなさそうです。


単純計算で,固定資産税の増額<管理料となれば採算が明らかですし,


管理されることで,防犯や建物の劣化防止というプラスの要素もあります。


なお,特定空家の参考基準については,別途ガイドラインが定められる予定です。




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国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html


空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針


平成 27 年2月 26 日付け総務省・国土交通省告示第1号




(一部抜粋)




1 本基本指針の背景


(1)空家等の現状 平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査の速報値(平成2 6年7月29日公表)によると、全国の総住宅数は 6,063 万戸となって いる一方、総世帯数は 5,246 万世帯となっており、住宅ストックが量的3 には充足していることが分かる。


このうち空き家※1の数は 820 万戸で あり、これが全国の総住宅数に占める割合は 13.5%となっている。


また 「賃貸用又は売却用の住宅※2」及び「二次的住宅※3」を除いた「その他 の住宅※4」に属する空き家の数は 318 万戸に上っている。これが全国の 総住宅数に占める割合は 5.2%であるが、その数は過去 20 年間で約2 倍に増加しているところである。


※1 住宅・土地統計調査における「空き家」とは、以下に掲げる「賃貸用又は売却 用の住宅」、「二次的住宅」及び「その他の住宅」を合計したものをいう。


※2 住宅・土地統計調査における「賃貸用又は売却用の住宅」とは「新築・中古を 問わず、賃貸又は売却のために空き家になっている住宅」をいう。


※3 住宅・土地統計調査における「二次的住宅」とは「別荘(週末や休暇時に避暑・ 避寒・保養などの目的で使用される住宅で、普段は人が住んでいない住宅)」及 び「その他住宅(普段住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊り するなど、たまに寝泊りしている人がいる住宅)」を合計したものをいう。


※4 住宅・土地統計調査における「その他の住宅」とは「賃貸用又は売却用の住宅」 又は「二次的住宅」以外の人が住んでいない住宅で、例えば転勤・入院などのた めに居住世帯が長期にわたって不在の住宅建て替えなどのために取り壊すこ とになっている住宅など」をいう。




3 空家等の実態把握


(1)市町村内の空家等の所在等の把握 市町村が空家等対策を効果的かつ効率的に実施するためには、既存の統 計資料等も活用しつつ、まず各市町村の区域内の空家等の所在やその状態 等を把握することが重要である。


「空家等」は、法第2条第1項により「建築物又はこれに附属する工作 物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及 びその敷地(立木その他の土地に定着するものを含む。)をいう。」と定義 されている。


ここでいう「建築物」とは建築基準法(昭和25年法律第2 01号)第2条第1号の「建築物」と同義であり、土地に定着する工作物 のうち、屋根及び柱又は壁を有するもの(これに類する構造のものを含 む。)、これに附属する門又は塀等をいい、また「これに附属する工作物」8 とはネオン看板など門又は塀以外の建築物に附属する工作物が該当する。


市町村はその区域内の建築物又はこれに附属する工作物(以下「建築物 等」という。)のうち「居住その他の使用がなされていないことが常態で あるもの」を空家等と判断し、この法律を適用することとなる。


「居住そ の他の使用がなされていないこと」とは、人の日常生活が営まれていない、 営業が行われていないなど当該建築物等を現に意図をもって使い用いて いないことをいうが、このような建築物等の使用実態の有無については、 法第9条第1項の調査を行う一環として、調査時点での建築物等の状況を 基に、建築物等の用途、建築物等への人の出入りの有無、電気・ガス・水 道の使用状況及びそれらが使用可能な状態にあるか否か建築物等及びそ の敷地の登記記録並びに建築物等の所有者等の住民票の内容、建築物等の 適切な管理が行われているか否か、建築物等の所有者等によるその利用実 績についての主張等から客観的に判断することが望ましい。


また、「居住その他の使用がなされていない」ことが「常態である」と は、建築物等が長期間にわたって使用されていない状態をいい、例えば概 ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となると考 えられる。


(略)


また、空家等のうち、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険と なるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適 切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態そ の他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状 態にあると認められる」もの(法第2条第2項)については「特定空家等」 に該当することとなるが、どのような空家等が「特定空家等」に該当する か否かを判断する際に参考となる基準等については、国土交通大臣及び総 務大臣がガイドラインにおいて別途定めることとしている。




8 空家等に関する対策の実施に必要な財政上・税制上の措置


(2)税制上の措置 法第15条第2項においては「国及び地方公共団体は、市町村が行う 空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資 するため、必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」と規 定されている。


現在、人の居住の用に供する家屋の敷地のうち一定のものについて は、地方税法第349条の3の2及び同法第702条の3に基づき、当 該敷地の面積に応じて、その固定資産税の課税標準額を6分の1(20 0㎡以下の部分の敷地)又は3分の1(200㎡を超える部分の敷地) とするとともに、


その都市計画税の課税標準額を3分の1(200㎡以 下の部分の敷地)又は3分の2(200㎡を超える部分の敷地)とする 特例措置(固定資産税等の住宅用地特例)が講じられている。


この固定 資産税等の住宅用地特例が、管理状況が悪く、人が住んでいない家屋の 敷地に対して適用されると、比較的地価が高い地域においては当該家屋 を除却した場合※と比べて固定資産税等が軽減されてしまうため、空き家 の除却や適正管理が進まなくなる可能性があるとの指摘が存在する。




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賃貸マンション・賃貸アパートのトラブル(北海道・札幌市)




【賃貸トラブル】

◇借家人の相続人が相続放棄をしたが,死亡した借家人の私有物(動産など)が賃貸物件に放置されたままになっている。家主は,どう対処したらよいか?

◇借家人の相続人が相続放棄をしたが,賃貸物件に死亡した借家人の私有物が放置されているため,家主から保証人に対して賃料支払い請求がされている。保証人はどう対処したらよいか?

◇借地上の建物に居住していた父が死亡したので,地主に連絡したところ,建物を取り壊して借地を返却するよう請求された。相続人はどう対処したらよいか?

◇借地人の相続人から,借地上の建物にだれも住まないから建物を買い取ってくれと請求された。地主はどう対処すればよいか?

◇借家人が,最近募集されている空き部屋の賃料が安いことを知って,賃料の値下げを請求してきた。家主はどう対処すればよいか?

◇家主から,次回の契約更新とともに賃料の増額を請求された。借家人はどう対処すればよいか?

◇借家契約を解約したところ,中途解約の違約金を請求された。借家人はどう対処すればよいか?

◇家主が交代し,新家主から立ち退きを請求された。借家人はどう対処したらよいか?

◇借家の老朽化を理由に,立ち退きを要求されている,借家人はどう対処したらよいか?

◇賃貸契約書に記載のないハウスクリーニング代を請求された,借家人はどう対処したらよいか?

◇賃貸借契約の名義人である夫と離婚し,夫は退去したが,妻は居住し続けたい,どう対処したらよいか?

◇知らない間に賃貸借契約の保証人にされおり,滞納家賃の支払い請求がきた,どう対処すればよいか?



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◇岩見沢,札幌,倶知安,室蘭,浦河,函館,江差,旭川,留萌,
稚内,網走,帯広,釧路,根室,北見,富良野,深川,滝川,美唄,江別,小樽,石狩,北広島,恵庭,千歳,苫小牧,登別,伊達,北斗

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2015年2月25日水曜日

民法(債権関係)の改正に関する要綱案(原状回復義務)



民法(債権関係)の改正に関する要綱案(原状回復義務)


民法第616条


「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収 益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、


賃貸借が終了したときは、その損傷を 原状に復する義務を負う。


ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することが できない事由によるものであるときは、この限りでない。」


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現行の民法では,原状回復義務について,条文には定められていませんが,賃貸借契約の性質上,賃借人は原状回復義務を負うと解されています。


現行の民法では,原状回復義務の内容は,条文には定められていませんが,「通常の使用及び収 益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」および「損傷が賃借人の責めに帰することが できない事由によるもの」は,原状回復義務の対象外になると解されています。(多数の裁判例もそのように解しています。)


結局,原状回復義務の民法改正案は,現在の通説を,条文で明らかにするという点にあり,とくに,それ以上に借主を保護するというものではありません。現行の民法では,専門書を読まなければ分からなかったことが,民法改正後は,民法の条文を読めば分かるようになるというのがメリットです。


民法の条文への明記により,借主は安易に原状回復費用を支払うようなことがなくなったり,家主や不動産管理会社の原状回復義務に対する理解が深まったりすることで,結果として,借主保護につながるという効果があるかもしれません。訴訟になったとしても,裁判所からの条文を示した説得で,借主有利の和解で早期に終結することが多くなるかもしれません。


ところで,最高裁平成23年3月24日判決は,居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約について,当該事案では,消費者契約法10条に違反せず,有効と判断しています。


民法(債権関係)の改正に関する要綱案の作成過程の資料によると,原状回復義務の特約である敷引特約などについて,当然に無効になるとは考えていないようです。したがって,最判平23年の解釈が変わるわけではないようです。




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2015年1月15日木曜日

事務所の賃貸借契約における通常損耗補修特約が否定された裁判例




東京地方裁判所平成25年8月19日判決 ウエストロー・ジャパン




事業主が賃借人の場合は,消費者契約法の適用がなく,契約自由の原則が働きますので,


通常損耗補修特約は肯定されやすいとされていますが,


本件では,特約の明確な合意がなかったとして否定されました。





不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/95/95-080.pdf


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位置指定道路と建築確認に関する裁判例



東京地方裁判所平成25年8月9日判決 ウエストロー・ジャパン


位置指定がなされた当時の経緯,その後の状態,原告が土地を購入した当時の状態等をふまえて,


位置指定道路の所有者に対する原告の請求(原告の土地が位置指定道路に接続できるようにするため,位置指定道路の所有者が設定したフェンスの撤去を請求)は棄却されました。




不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/95/95-092.pdf




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賃貸借契約の成立に関する裁判例


東京地方裁判所平成25年7月17日判決 ウエストロー・ジャパン


裁判所は,連帯保証人の承諾(賃貸借契約書への署名押印)は,賃貸借契約の成立に影響しないと判断しました。


①賃貸人が署名した賃貸借契約書を,連帯保証人が署名をするために賃借人に預けたこと。


②賃貸人が賃借人に賃貸物件の鍵を渡し,賃借人は入居していたこと。


③賃借人が半年経過しても,連帯保証人を準備できなかったこと。


④賃貸人が再三,連帯保証人の署名済みの賃貸借契約書の返還を請求したこと。


⑤入居申込書に虚偽の職業と収入を記入したこと。




裁判所は,連帯保証人を準備できなかったとしても,本件賃貸借契約は成立していると認められるが,本件賃借人の行為により信頼関係が破壊されたとして,賃貸人からの賃貸借契約の解除を認めました。


*賃貸借契約締結当時,賃借人は生活保護申請中であり,かつ連帯保証人の確保ができないことから,賃貸人が賃料支払い能力に不安になり先手を打ったような感じです。半年後には,生活保護課から賃貸人に通知がいき,生活保護受給者であることを把握していたのでしょう。






不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/95/95-078.pdf




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離婚し別居した元夫と元妻の賃料滞納に関する裁判例

東京地方裁判所平成25年9月25日判決 ウエストロー・ジャパン




賃貸借契約の名義人である元夫(賃借人)が離婚し賃貸物件から退去したが,


元妻は賃貸物件にそのまま居住を続けていた。


元夫も元妻も,賃料を25ヵ月分にわたり支払わなかったので,賃貸人から建物明渡しとおよび滞納賃料の支払い訴訟を起こされました。


裁判所は,元夫(賃借人)は賃貸借契約を解除することができたのに解除しなかったとして,


元夫の賃料支払い義務は6ヵ月分に制限されるとの信義則の主張を排斥し,


元夫に対して,賃借人として,賃料25ヵ月分と元妻が建物を明け渡す日までの賃料相当損害金の支払い義務を認めました。


元妻に対しても,不法占拠者として,賃料25ヵ月分と建物を明け渡す日までの賃料相当損害金の支払い義務を認めました。




*仮に,賃借人である元夫が賃貸借契約を解除していたとしても,元妻が建物を明け渡さないと,元夫には明け渡し日まで賃料相当損害金を支払う義務があります。


離婚の場合は,住宅ローンの場合も,賃貸の場合も,居住していた物件に関してトラブルが生じます。






不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/95/95-074.pdf




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2015年1月7日水曜日

賃借人の履行補助者(同居人・家族)や転借人の責任

賃借人の同居人・家族または転借人が,賃借物を滅失・毀損した場合は,


滅失・毀損をした本人が,賃貸人に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うのは当然ですが,


賃借人(転貸人)自身も,賃貸人に対して賃貸借契約の賃借物保管義務の不履行に基づく損害賠償責任を負います。


賃借人の同居人・家族または転借人は,賃借人の履行補助者であり,賃貸借契約の債務不履行の債務者の責めに帰すべき事由には,履行補助者の故意・過失も含むと解されているからです。


したがって,賃借人は,賃借物の滅失・毀損について,


友人にまた貸ししたから知らないとか,


現在は別居の妻が住んでいるから知らないとかの理由により,


賃貸人からの損害賠償責任を免れることはできません。




①賃貸人の承諾のある転貸借の転借人の失火について賃借人の責任を認めた判例(大判昭4・6・19)


②賃借人の妻の失火について賃借人の責任を認めた判例(最判昭30・4・19民集 第9巻5号556頁 )。


③住み込み職人の失火について賃借人の責任を認めた判例(最判昭35・6・21)




  
事件名
 損害賠償請求
裁判年月日
 昭和30年4月19日
法廷名
 最高裁判所第三小法廷
裁判種別
 判決
結果
 棄却
判例集等巻・号・頁
 民集 第9巻5号556頁
    
  
    
判示事項
 一 債務者の妻の過失と夫の債務不履行上の責任
二 債務者の責に帰すべき事由により履行不能を原因とする損害賠償の請求と契約解除の要否
裁判要旨
 一 家屋賃借人の妻の失火により、右家屋が滅失したときは、賃借人たる夫の責に帰すべき事由により賃借物の返還義務が履行不能になつたものと認めるべきである。
二 債務者の責に帰すべき事由によつて履行不能を生じたときは、賃借人は、契約を解除することなくして填補賠償の請求をすることができる。
参照法条
 民法415条,民法543条
全文
全文




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2015年1月3日土曜日

国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成26年度第3回)

①ADR和解が成立しても,実際に返金に応じる業者は少ないこと。


②未成年者のクレジットカード使用による携帯型ゲーム機の利用料については,ゲーム会社は半額程度であればADR和解に応じること。


③業者側は,このような少額案件は弁護士が消費者の依頼に応じないことを知っている節があること。




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[2014年12月18日:公表]


国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成26年度第3回)


国民生活センターHP
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20141218_2.html




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