注目の投稿

賃貸マンション・アパートの退去費用・原状回復(札幌)

◇ 退去費用・原状回復(現状回復)費用・敷金返還のご相談・ご依頼を承っております。 法テラスの相談援助が利用できる場合は,3回までの相談料は無料になります。借主の場合,資産要件を満たすことが多いため,相談援助を利用ができる場合が多いと思います。 家主の高額な請求金額をその...

2015年2月25日水曜日

民法(債権関係)の改正に関する要綱案(原状回復義務)



民法(債権関係)の改正に関する要綱案(原状回復義務)


民法第616条


「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収 益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、


賃貸借が終了したときは、その損傷を 原状に復する義務を負う。


ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することが できない事由によるものであるときは、この限りでない。」


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


現行の民法では,原状回復義務について,条文には定められていませんが,賃貸借契約の性質上,賃借人は原状回復義務を負うと解されています。


現行の民法では,原状回復義務の内容は,条文には定められていませんが,「通常の使用及び収 益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」および「損傷が賃借人の責めに帰することが できない事由によるもの」は,原状回復義務の対象外になると解されています。(多数の裁判例もそのように解しています。)


結局,原状回復義務の民法改正案は,現在の通説を,条文で明らかにするという点にあり,とくに,それ以上に借主を保護するというものではありません。現行の民法では,専門書を読まなければ分からなかったことが,民法改正後は,民法の条文を読めば分かるようになるというのがメリットです。


民法の条文への明記により,借主は安易に原状回復費用を支払うようなことがなくなったり,家主や不動産管理会社の原状回復義務に対する理解が深まったりすることで,結果として,借主保護につながるという効果があるかもしれません。訴訟になったとしても,裁判所からの条文を示した説得で,借主有利の和解で早期に終結することが多くなるかもしれません。


ところで,最高裁平成23年3月24日判決は,居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約について,当該事案では,消費者契約法10条に違反せず,有効と判断しています。


民法(債権関係)の改正に関する要綱案の作成過程の資料によると,原状回復義務の特約である敷引特約などについて,当然に無効になるとは考えていないようです。したがって,最判平23年の解釈が変わるわけではないようです。




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com