滅失・毀損をした本人が,賃貸人に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うのは当然ですが,
賃借人(転貸人)自身も,賃貸人に対して賃貸借契約の賃借物保管義務の不履行に基づく損害賠償責任を負います。
賃借人の同居人・家族または転借人は,賃借人の履行補助者であり,賃貸借契約の債務不履行の債務者の責めに帰すべき事由には,履行補助者の故意・過失も含むと解されているからです。
したがって,賃借人は,賃借物の滅失・毀損について,
友人にまた貸ししたから知らないとか,
現在は別居の妻が住んでいるから知らないとかの理由により,
賃貸人からの損害賠償責任を免れることはできません。
①賃貸人の承諾のある転貸借の転借人の失火について賃借人の責任を認めた判例(大判昭4・6・19)
②賃借人の妻の失火について賃借人の責任を認めた判例(最判昭30・4・19民集 第9巻5号556頁 )。
③住み込み職人の失火について賃借人の責任を認めた判例(最判昭35・6・21)
事件名
損害賠償請求
裁判年月日
昭和30年4月19日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第9巻5号556頁
判示事項
一 債務者の妻の過失と夫の債務不履行上の責任
二 債務者の責に帰すべき事由により履行不能を原因とする損害賠償の請求と契約解除の要否
二 債務者の責に帰すべき事由により履行不能を原因とする損害賠償の請求と契約解除の要否
裁判要旨
一 家屋賃借人の妻の失火により、右家屋が滅失したときは、賃借人たる夫の責に帰すべき事由により賃借物の返還義務が履行不能になつたものと認めるべきである。
二 債務者の責に帰すべき事由によつて履行不能を生じたときは、賃借人は、契約を解除することなくして填補賠償の請求をすることができる。
二 債務者の責に帰すべき事由によつて履行不能を生じたときは、賃借人は、契約を解除することなくして填補賠償の請求をすることができる。
参照法条
民法415条,民法543条
全文
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