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2017年3月3日金曜日

共有の賃貸不動産の賃料債権

共有(共同所有)している不動産を賃貸している場合の賃料債権ですが,


賃貸借契約で特約をしていない限り,


賃貸人である各共有者は,その持分に応じた賃料債権額を賃借人に対して,各自請求することができます。


賃料債権は分割債権と解されているからです(最判平17年9月8日民集59巻7号1931頁,川井健・新版注釈民法(7),奥田昌道・債権総論(下),裁判所職員総合研修所監修・執行文講義案(改訂補訂版))。


賃貸人である各共有者が,賃料債権の全額を請求できるという不可分債権説(同旨の裁判例:東京地判昭45年7月16日下民集21巻7号1062頁,大阪高判平元8月29日判タ709号208頁など,なお小野秀誠・債権総論は上記最判平17年に言及しつつも不可分債権と解しています。松尾弘・私法判例リマークス2017年[上]は不可分債権であるとの見解が一般的であると解しています。)もありますが,


上記最判平17年が,「遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,共同相続人の共有に属するものであるから,この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は,遺産とは別個の財産というべきであっ て,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。」と判示したため,共有から生ずる賃料債権は分割債権と解されています。


ただし,東京地方裁判所民事執行センターにおける賃料債権に対する物上代位で,不可分債権とする取り扱いについては,東京地方裁判所民事執行センター実務研究会・民事執行の実務 債権執行編 上 [第3版」を参照。


なお,岡口基一・要件事実マニュアル第1巻(第3版)には,不可分債権の例として上記大阪高判平元8月29日が記載されていましたが,要件事実マニュアル第1巻(第5版)では削除されていました。


*内部関係(他の共有者との関係は,分割債権とする。)と外部関係(賃借人との関係では不可分債権とする。)を区別する考え方もあり得るところです。


賃借人としても,賃貸人である各共有者ごとに支払わなければならないことは煩雑で,仮に不可分債権でれば,ある共有者に賃料の全額支払うことができるようになります。


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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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