敷引特約,更新料特約につき,
消費者契約法10条に違反せず,有効とした一連の最高裁判決から理解できること。
特約が有効とされる要素として,
(1)賃貸借契約書において,特約の内容が一義的であること。
一般人にとって,わかりやすい内容とすること。
つまり,日常用語(難解な法律用語を使用せず,かみくだいた内容)を用いて,
かつ,
誤解するような多義的な内容(複数の解釈が成り立つような表現)にしないこと。
(2)賃貸借契約書において,特約の内容が具体的であること。
具体的に記載できる部分は,曖昧にせず,きっちり記載すること(とくに数字の部分)。
更新料特約を有効とした事案は,賃貸借契約書において,
以下①~③の内容になっていました。
①更新する場合は期間満了の60日前までに申し出ること
②借地借家法による法定更新,賃貸借契約による合意更新であるかに関係なく,
1年経過ごとに賃料2ヵ月分の更新料を支払うこと。
③入居期間に関係なく,更新料の返還および精算に応じないこと。
(3)賃貸借契約の締結時において,賃借人が特約の内容を理解していたこと。
更新料特約も,敷引特約も,民法の賃貸借契約の内容よりも,
賃借人の義務を加重(賃料以外の金を取る)しているので,
賃貸借契約の締結時において,
賃借人に対し,丁寧に説明し,特約を抜粋した書面に同意の署名をもらうべきでしょう。
契約成立を焦るあまり,
説明がなおざりになったり,特約を抜粋した書面の署名を忘れたりすると
特約の成立を争われる可能性があります。
(4)敷引金の額,更新料の額が,高すぎないこと。
その他の事情にもよりますが,
敷引金の額については,月額賃料の3ヵ月分程度,
更新料の額については,1年ごとの更新につき,月額賃料の2ヵ月分程度では,
高すぎる場合に該当せず,消費者契約法10条に違反せず有効と判断されています。
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