原状回復義務の考え方2
原則として,
A:経年変化による自然損耗分
B:通常使用に伴う通常損耗分
について,
借主は,原状回復義務を負いません。
例外として,
A:経年変化による自然損耗分
B:通常使用に伴う通常損耗分
についても,
特別契約(特約)によって,
借主が負担すると決めておいた場合は,
借主の負担になります。
しかし,
①平成17年12月16日最高裁判所第二小法廷判決や
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=24961&hanreiKbn=01
②消費者契約法10条により,
A:経年変化による自然損耗分
B:通常使用に伴う通常損耗分
について,
借主が負担するとの特約は,裁判上は,ほぼ認められなくなりました。
(裁判をしない場合は,家主や不動産業者から特約を示されれ,借主の負担を主張されてしまうでしょう。)
その結果,
借主に原因があった場合の物件の損傷についてが問題になります。
借主に原因があれば,原状回復費用について,
100%借主が負担すべきと考えることもできます。
確かに,借主に原因があるが,
借主がその物件に長く居住していれば,
自然損耗や通常損耗により,
そもそも物件は痛んでくること。
その借主が長く居住することにより,
家主は,安定した家賃を収受できたこと。
(空き部屋による家賃損失がなかったこと)
などから,国土交通省のガイドラインは,
経年変化を考慮して,借主の原状回復義務の内容を軽減してます。
(例)クロスは6年経過すれば,
10%の価値になると規定してあります。
よって,借主が,残りの90%についても負担すると,
家主がその分を不当に利得したと考えます。
この場合,たとえ借主に原因に基づくクロスの損傷であっても,
最大値で,借主は,その10%を負担すれば足りるということです。
その10%について,借主の原因によって,
故意の場合は,10%借主負担ですが,
過失の場合は,過失割合により,10%のうちの?%が借主負担ということになります。
そもそも,借主に原因がなければ,
借主の負担は0%です。
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