敷引き特約(敷金から,自動的に一定金額を差し引く特約)について,
消費者契約法10条に該当し無効である,
と判断された裁判事例を紹介します。
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【判示事項の要旨】
居住用建物の賃貸借契約における保証金の解約引き特約及び更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効であると判断された事例
平成20(ワ)3224
事件名
敷金返還請求事件
裁判年月日
平成21年07月23日
裁判所名・部
京都地方裁判所 第6民事部
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37862&hanreiKbn=03
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【判示事項の要旨】
敷金は全額償却するとの約定の下に敷金が差し入れられていた建物賃貸借契約が建物入居前に賃借人により解約された場合において,敷金は,賃借人に未払家賃,修繕費等の債務がない場合,賃貸人が賃借人に対して返還する義務を負うものであって,敷金を全額償却する旨の定めは,他に合理的な理由がない限り,消費者契約法10条により無効になると解し,敷金全額を返還すべきものとした事例
事件番号
平成20(少コ)438
事件名
敷金等返還請求事件(通常訴訟手続に移行)
裁判年月日
平成21年06月04日
裁判所名・部
名古屋簡易裁判所
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=38035&hanreiKbn=03
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【判示事項の要旨】
控訴人が,被控訴人との間で締結した賃貸借契約には,賃貸借契約終了時に敷金の一部を返還しない旨のいわゆる敷引特約が付されており,被控訴人から敷金35万円のうち5万円しか返還されなかったことから,上記敷引特約が消費者契約法10条により全部無効であるとして,被控訴人に対し,敷金残金30万円などの返還を求めたところ,上記敷引特約は消費者契約法10条により無効であると判断された事例
事件番号
平成18(レ)79
事件名
敷金返還請求控訴事件
裁判年月日
平成19年04月20日
裁判所名・部
京都地方裁判所 第2民事部
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=34596&hanreiKbn=03
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なお,上記の各裁判例は,個々の事件に対する判断であって,
すべての事件において,当てはまるものではありません。
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