マンションの管理費を滞納する区分所有者を追い出す方法として,
区分所有法59条に基づき,不動産競売を申し立てる方法があります。
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならず,
区分所有者の共同生活上の障害が著しく、
他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、
他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、
当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができます。
建物の管理は,通常,管理費によって賄われており,
滞納管理費が多額に及ぶと,区分所有者の共同生活上の障害が著しくなると解されるからです。
本条の要件としては,
①区分所有者の共同生活上の障害が著しいこと
②集会の決議で区分所有者及び議決権の各4分の3以上が賛成すること
③訴訟をすること
が必要です。
*なお,この方法は,滞納している区分所有者を追い出すためのもので,
滞納管理費を回収するには,
管理費の請求訴訟を提起し,判決を得て,一般債権者として
または,区分所有法7条に基づく先取特権者として
別途,配当要求する必要があります。
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建物の区分所有等に関する法律
(区分所有者の権利義務等)
第六条
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
(使用禁止の請求)
第五十八条
前条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。
2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
3 第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
4 前条第三項の規定は、第一項の訴えの提起に準用する。
(区分所有権の競売の請求)
第五十九条
第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、前条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
3 第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない。
4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。
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