賃借建物が競売になった場合で,
平成16年3月31日以前に,
賃貸借契約を締結していたときは
(更新により,平成16年3月31日以前から現在に至る場合も含む)
改正前の民法の規定が適用されます。
よって,改正後の民法の規定である「建物明渡し猶予制度」は適用されません。
【参照】
上記の点を明らかにした下級審判例です。
経過措置により短期賃貸借保護制度の適用を受ける賃借人が,
同制度の適用を受けられなくなっても,
建物明渡し猶予制度の適用を受けることはできないとされた事例
不動産適正取引推進機構HP
http://www.retio.or.jp/info/pdf/79/79_17.pdf
この事例では,賃借権に優先する抵当権に基づく競売の申し立てにより,
賃貸建物が差し押さえられました。
差押え後に,賃貸借契約の期間が満了しましたが,
契約は更新されました。
この場合,賃借人は,
競売によって賃貸建物を取得した競落人に負けます。
競落人に所有権が移転したときから,
不法占有になります。
つまり,差押え後の更新は,
競落人との関係では,無効になるということです。
←差押え前に更新があった場合,原則として,競落人に対抗できます。
*平成16年4月1日以降に,
賃貸借契約を締結していた場合,
競落人に所有権が移転したときから6ヵ月間については,
対価の支払いを条件に,明渡し猶予制度が適用されます。
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