火災保険金と損益相殺に関する判例
第三者の不法行為又は債務不履行により家屋が焼失した場合、
その損害につき火災保険契約に基づいて家屋所有者に給付される保険金は、
右第三者が負担すべき損害賠償額から損益相殺として控除されるべき利益にはあたりません。
しかし,損害保険は,生命保険と異なり,
商法662条(保険法25条)所定の保険者の代位の制度により,
保険金を受け取った限度で,
第三者に対する損害賠償請求権を喪失します。
本件事案では,
被害者(保険加入者)が846万円の損害に対し,
加害者から600万円,
保険会社から650万円,
合計1250万円を取得しており,
1250万円-846万円=404万円をもらいすぎていました。
←保険会社は保険者代位の制度により,
被害者に対し,404万円の不当利得返還請求ができます。
*保険者の代位の制度は,
いわゆる「焼け太り」(保険金と損害賠償金の二重利得)の防止,
たまたま被害者が保険に加入していたことによる,加害者の免責を防止するものです。
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事件番号 昭和49(オ)531
事件名 損害賠償、敷金返還請求
裁判年月日 昭和50年01月31日
法廷名 最高裁判所第三小法廷 判決
民集 第29巻1号68頁
判示事項
不法行為又は債務不履行による家屋焼失に基づく損害賠償額から火災保険金を損益相殺として控除することの適否
裁判要旨
第三者の不法行為又は債務不履行により家屋が焼失した場合、その損害につき火災保険契約に基づいて家屋所有者に給付される保険金は、右第三者が負担すべき損害賠償額から損益相殺として控除されるべき利益にはあたらない。
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=52130&hanreiKbn=01
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