遺産分割協議の結果,
共同相続人のうち,ある相続人の単独名義にすることを決定したが,
遺産分割協議に基づいた名義変更をしない間に,
他の相続人が法定相続分にしたがった名義変更(相続登記)をし,
自己の法定相続分を第三者に売却し,名義も第三者に変更された場合。
遺産分割協議の結果,単独名義になる予定の相続人は,
第三者に売却された法定相続分の部分については,
所有権を主張できません。
(例)
不動産甲につき,共同相続人A,Bがいて,
遺産分割協議の結果,Bが単独所有することに決まったが,
その名義変更の前に,
Aが法定相続分にもとづいた,所有権AB各2分の1の名義変更をし,
Aが自己の2分の1を第三者Cに売却し,名義もCに変更した場合,
Bは,自己の法定相続分である2分の1ついては,
Cに所有権を主張できますが,
Aの法定相続分に該当する残り2分の1については,
Cに所有権を主張できません。
*法定相続分に基づく名義変更は,共同相続人のうち1人のみで,行うことができます。
また,共同相続人のうち1人に対する債権者は,
その1人が法定相続分に基づく名義変更をする意図がなくても,
その1人に代わって,法定相続分に基づく名義変更をしたうえで,
その1人の法定相続分を差し押さえることができます。
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昭和46年01月26日 最高裁判所第三小法廷 判決 民集 第25巻1号90頁
判示事項 遺産分割と登記
裁判要旨 相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない。
最高裁判所HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=53191&hanreiKbn=01