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2016年3月25日金曜日
建物賃貸借契約の礼金の返還請求
下記最高裁判決の理由中における傍論部分ですが,
「敷引金は 個々の契約ごとに様々な性質を有するものであるが、いわゆる礼金として合意された場合のように当事者間に明確な合意が存する場合は別として、・・・これを賃借人に返還すべきものであるからである。」
とのことですので,
最高裁は礼金としての合意がある場合,家主は借主に礼金を返還する必要がないと理解していることになります。
この最高裁判決当時は,消費者契約法は施行されていませんでしたが,敷引特約及び更新料特約の消費者契約法10条違反による無効を否定した平成23年の一連の最高裁判決の趣旨からすると,礼金の金額が高額すぎるのでなければ,家主は借主に礼金を返還する必要はないでしょう。
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平成10年9月3日最高裁判所第一小法廷判決
民集 第52巻6号1467頁
居住用の家屋の賃貸借における敷金につき、
賃貸借契約終了時にそのうちの一定 金額又は一定割合の金員(以下)「敷引金」という。)を返還しない旨のいわゆる 敷引特約がされた場合において、
災害により賃借家屋が滅失し、賃貸借契約が終了 したときは、特段の事情がない限り、敷引特約を適用することはできず、賃貸人は 賃借人に対し敷引金を返還すべきものと解するのが相当である。
けだし、敷引金は 個々の契約ごとに様々な性質を有するものであるが、いわゆる礼金として合意され た場合のように当事者間に明確な合意が存する場合は別として、一般に、賃貸借契 約が火災、震災、風水害その他の災害により当事者が予期していない時期に終了し た場合についてまで敷引金を返還しないとの合意が成立していたと解することはで きないから、他に敷引金の不返還を相当とするに足りる特段の事情がない限り、これを賃借人に返還すべきものであるからである。
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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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