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2016年3月20日日曜日

社宅と賃貸借契約




会社が貸主となり,社員(従業員・労働者)が借主となって,


社宅(社員寮)の使用契約を締結することがあります。


この使用契約が,賃貸借契約なのか使用貸借契約なのかそれ以外の特殊な契約なのかが問題となります。


賃貸借契約と判断される場合は,借地借家法が適用されるため,借主は社員(従業員)を退職した場合であっても,ただちに退去する必要がありません。


借地借家法が適用される前提として,


社宅の使用関係が賃貸借契約でなければなりません。


社宅の使用料の金額が世間並みの家賃相当額の場合は,賃貸借契約を肯定する事情になります。


社宅の利用者が,社員(従業員・労働者)に限定されている場合は,賃貸借契約を否定する事情になります。


「賃貸借契約ではない,社宅に関する特殊な契約関係」との理由付けにより,賃貸借契約を否定した最高裁判決をうけて,


下級審裁判例には,社宅の使用関係については,賃貸借契約を否定した事例が多いようです。


なお,賃貸借契約が肯定されても,社員(従業員)を退職した場合は,契約期間の満了の際,賃貸人からの解約の申し入れについての正当の事由が認められやすくなります。


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昭和29年11月16日最高裁判所第三小法廷判決


民集 第8巻11号2047頁


裁判要旨


 会社とその従業員との間における有料社宅の使用関係が賃貸借であるかその他の契約関係であるかは、各場合における契約の趣旨いかんによる。






昭和31年11月16日最高裁判所第二小法廷判決


民集 第10巻11号1453頁


裁判要旨 


従業員専用の寮の使用関係において、世間並みの家賃相当額を使用料として支払つている等、原審認定のような事実(原判決理由参照)があるときは、その使用関係を賃貸借と判断して妨げない







 昭和37年5月18日最高裁判所第二小法廷判決



集民 第60号741頁


裁判要旨


 いわゆる社宅の使用料が公定賃料額に比べて低額であつたことからその使用関係に借家法の適用がないとされた事例




昭和39年3月10日最高裁判所第三小法廷判決


 集民 第72号431頁


裁判要旨


会社が従業員の福利厚生施設の一つとして、一般の建物賃貸借における賃料より低廉な使用料で、その従業員に限つて使用させている等原判示の如き事情(原判決理由参照)がある社宅の使用については、たとえ、入居願書の提出や社宅規則がなくても、借家法の適用はない。




昭和44年4月15日 最高裁判所第三小法廷判決


集民 第95号105頁


裁判要旨


原判決(引用する第一審判決)の認定した事実関係のもとでは、本件建物の利用関係は賃貸借ではなく、鉱員たる資格の存在をその使用関係存続の前提とする社宅に関する特殊な契約関係であつて、借家法の適用はない。




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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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