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2016年3月22日火曜日
区分所有法59条1項の競売請求権に関する判例
本件最高裁判決は,
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として民事保全法上の処分禁止の仮処分を申し立てることは,できない。
との判断をしました。
平成23年10月11日最高裁判所第三小法廷決定(集民第238号1頁)は,
「建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後に被告であった区分所有者がその区分所有権及び敷地利用権を譲渡した場合に,その譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできない。」
との判断をしていましたので,本件事案では,処分禁止の仮処分をすることができるのかどうかが争われました。
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平成28年3月18日 最高裁判所第二小法廷決定
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として民事保全法上の処分禁止の仮処分を申し立てることの可否
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として,民事保全法53条又は55条に規定する方法により仮処分の執行を行う処分禁止の仮処分を申し立てることはできないものと解するのが相当である。
その理由は,次のとおりである。
民事保全法53条は同条1項に規定する登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行方法について,
同法55条は建物の収去及びその敷地の明渡しの請求権を保全するためのその建物の処分禁止の仮処分の執行方法についてそれぞれ規定しているところ,
建物の区分所有等に関する法律59条1項の規定に基づき区分所有権及び敷地利用権の競売を請求する権利は,
民事保全法53条又は55条に規定する上記の各請求権であるとはいえない。
上記の競売を請求する権利は,特定の区分所有者が,区分所有者の共同の利益に反する行為をし,
又はその行為をするおそれがあることを原因として,
区分所有者の共同生活の維持を図るため,他の区分所有者等において,当該行為に係る区分所有者の区分所有権等を競売により強制的に処分させ,
もって当該区分所有者を区分所有関係から排除しようとする趣旨のものである。
このことからしても,当該区分所有者が任意にその区分所有権等を処分することは,上記趣旨に反するものとはいえず,これを禁止することは相当でない。
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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/