多数の裁判例で,マンション管理規約における遅延損害金の定めだけでなく,違約金としての弁護士費用の定めも有効とされています。
したがって,マンション管理費及び修繕積立金の支払いを滞納している区分所有者に対する請求訴訟において,
判決は,滞納金額及び遅延損害金だけでなく弁護士費用(着手金及び成功報酬)の支払いも命じることになります。
なお,東京高裁平成26年4月16日判決(金融商事1445号58頁)によりますと,
本件マンションの管理規約も,標準管理規約に依拠して「違約金として の弁護士費用」と規定していたところ,
判決理由では,その趣旨を一義的に明確にするためは,
「管理組合が負担することになる一切の弁護士費用(違約金)」と定めるのが望ましいとの指摘がされているようです。
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標準管理規約
(管理費等の徴収)
第60条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使 用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により 第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日までに - 18 - 一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合 には、別に定めるところによる。
2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金として の弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対し て請求することができる。
3 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議に より、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる 。
4 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の 諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
5 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分 割請求をすることができない。
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